豊電子工業は、高い技術力がトヨタにも認められている評判の電気機器メーカーです。
ロボットシステムや配電制御システムに強みがあり、日本のFA(ファクトリーオートメーション=工場の自動化)の先駆けとして事業を展開しています。
とくにアルミ合金系鋳造ロボットシステムは世界シェア70%を誇り、世界中の自動車・二輪車メーカー、家電メーカーの製品づくりに貢献しています。
本稿では、豊電子工業の企業理念や歴史、事業内容、評判口コミ、高い技術力の詳細などを紹介していきます。
豊電子工業について詳しく知りたい方はぜひ御覧ください。
- 豊電子工業の企業理念と歴史
- 豊電子工業のロボット・配電制御システム
- 豊電子工業の社員の評判口コミ
- トヨタが認める技術力
- 世界クラスの先進技術開発
- 評判になっているロボットスクール
興味のある内容から読む!
豊電子工業とは
株式会社豊電子工業は1964年に創立され、2024年には創立60周年を迎えた歴史ある電気機器メーカーです。
本社と第1・2・3・5工場は愛知県刈谷市、豊明工場は愛知県豊明市、東京支店は東京都荒川区西日暮里にあります。
愛知県を拠点にしている会社ですが、その技術力は日本の一地方にとどまりません。
産業用ロボットシステムのパイオニア企業として、アルミ合金系のダイカスト(鋳造)ロボットシステムにおいては世界シェア70%を誇り、世界の自動車・二輪車メーカー、家電メーカーなどの製品づくりに貢献しています。
主要取引先は、トヨタ自動車株式会社、株式会社デンソー、アイシン株式会社、株式会社豊田自動織機、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社、いすゞ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社、ヤマハ発動機株式会社などとなっています。
愛知県には言わずと知れた世界的な自動車メーカー“トヨタ”がありますが、トヨタのクルマづくりにも豊電子工業の技術はなくてはならないものとなっています。
トヨタは豊電子工業に対し「世界に類のない独自のロボット技術企業」と最大限の評価をして、トヨタの技術開発賞を2度も与えています。
また、既存の技術に加えてロボット+αの「FAインテグレーター」、AI・IoT技術を用いた「スマート工場」といった最先端の技術開発も続けていて、日本だけでなく、アメリカ、中国、タイ、インドネシア、メキシコ、ポーランドの海外6カ国にも拠点を拡大しています。
企業理念
豊電子工業の企業理念は「常に先端技術の確保に努め、産業界を通じて我国および国際社会の発展に寄与します。」としています。
また、その企業理念を実現するための行動理念は以下の4つを掲げています。
- 我々は誠意をもってお客様の信頼と満足を高め、顧客第一主義を徹底します。
- 我々は会社の繁栄と従業員の幸福を希って今日を築き、明日を拓きます。
- 我々は活気に溢れ革新を生み出す企業風土を醸成します。
- 我々は創造とロマンの精神をもち、先進的かつグローバル企業に挑戦します。
“常に先端技術の確保に努め”については、現在展開中のロボット+αの「FAインテグレーター」、AI・IoT技術を用いた「スマート工場」などがあてはまります。
また、M&Aや新工場の完成により、EV(電気自動車)用電池のリーク(漏れ)の検査分野への参入についても着実に進展しています。
“我国および国際社会の発展に寄与”という点では、ISO14001(環境マネジメントシステム)を取得し、環境保護の姿勢を明らかにしています。
会社の歴史
会社のスタートは1964年の豊工業所創業になります。
当時は自動車部品捲線加工を事業としていて、1966年にはエムエス精機株式会社設立で自動車部品切削加工を、1968年には配電盤製造販売を開始し、1972年には社名を株式会社豊工業と改称して会社の基礎が固まりました。
その後は技術力を高めつつ、電子事業部を開設し、社名を株式会社豊電子工業に改名し、FA分野(産業用・計装)・産業用ロボット分野に進出して着実に電気機器メーカーとしての地位を確立していきます。
そして電気機器メーカーとしての技術力はますます進歩し、業界団体や自治体、会社などから多くの表彰を受けることになりました。
ここ10年では、海外関連会社設立、ロボットシステム工場完成など、最先端の技術の開発と海外展開によって高い技術力を幅広く発揮し、世界へとその活躍の場を広げています。
豊電子工業の事業内容
豊電子工業は電気機器メーカーと称されていて、メインの事業はロボットシステムと配電制御システムの製造であり、そのほかにも設計前の開発・提案から納品後の保守やアフターフォローに至るまでを事業として展開しています。
ここでは、豊電子工業のメイン事業について詳しく紹介します。
ロボットシステム
豊電子工業は、産業用ロボットのシステムインテグレーターとして、顧客の事業に最適化されたシステムの企画・立案、設計・開発、運用・保守を行っています。
メーカーがどのようなパーツをどれだけの数、時間、品質で必要としているのかを正確に把握し、それに合ったロボットシステムの構想設計から製作・納入・メンテナンスまでを請け負います。
サービスは製造、点検、オーバーホール、修理、部品販売、メンテナンス、プログラミング、操作実習スクールなど多岐にわたります。
具体的には、「加熱・表面改質関連」ではレーザ焼入れや高周波誘導加熱装置、過熱水蒸気・熱風加熱システムといった様々な加熱処理を提供しています。
「IoT関連」ではスマート工場の生産ラインを構築するラインビルダーとして、画像検査システムや物流ソリューションを提供。
「ダイカスト関連」ではスプレーロボット、取出しロボットシステム、バリ取りロボットシステム、トレーサビリティシステムといったダイカストに必要な各種設備を一括で提供しています。
さらに「ロボットメンテナンス関連」ではロボット点検、ロボット修理、ロボットスクールといったサービスを全国に展開しています。
配電制御システム
豊電子工業が提供する配電制御システムは、受配電から制御盤・分電盤まで、すべての設備を一括サポートしています。
構築できるのは直流給電システム、工場IoTシステム、各種FA制御システム、高低圧受電設備・制御盤・計装盤、蓄電システムで、プラントやビル機能を支える基幹設備に対応しています。
豊電子工業の評判口コミ
豊電子工業の評判口コミについて、同社で働いている社員からの声を集めました。
技術革新に貢献できる仕事
評判口コミ
私は技術開発部システム開発課で働いています。
大学の研究でロボットに関心を持っており、産業用ロボットシステムの分野で独創的な技術力を持ち、会社訪問でも先端技術を結集したロボットシステムがとても印象的だったので豊電子に入社しました。
今の部署では、フレキシブルな発想と先進性を求められ、設備の自動化を進める最先端の研究ができます。
エレクトロニクスやメカトロニクス、IoTの技術革新に貢献できる仕事ができ、満足しています。
豊電子工業では、最先端の研究をする会社として、上司や先輩たちが新人でも意見を尊重してくれる社風です。
この社風により、新人でも具体的な指示を受けられるため不明瞭な部分がクリアになり、自立やステップアップが早くなるという利点があります。
ロボット設備のプロになれる
評判口コミ
ロボット制御に興味があり、自動車も元々好きだったので豊電子工業に入社しました。
ロボット制御のプログラミングが学べただけでなく、設計から製造、営業、保全などのロボット設備まで関われたので、ロボット設備のプロを目指すならうってつけの会社です。
ロボット設備関連の部署に配属されれば、ロボットのシステム開発や配電制御システムの製造、設計前の開発・提案から納品後の保守やアフターフォローまで、様々なロボット事業に関わることができるようです。
また、経営基本方針の中にも「人材育成に尽力する」という目標があり、社員教育にも力を入れています。
例えば、入社後半年間は研修のジョブローテーションで会社の各部署の業務を経験することができ、他部署の仕事を知ったり、会社の取り組みがわかったりして、社員一人ひとりが自分の役割を考えるのに役立っています。
取引先が大手ばかりで誇らしい
評判口コミ
豊電子工業は自動車メーカーとの取引が多く、自社が製造に関わったパーツがトヨタなどの車に搭載されて世界中を走っているということは自慢できるし誇りになります。
また、大手への設備導入や現場での動作確認といった作業はやる気がおきますし、逆に中小の豊電子工業でも、仕事内容では大手に全く劣ってないと感じて凄く良い経験ができています。
豊電子工業の取引先は、世界のトヨタを始め、日産やホンダなど、世界的なグローバルカンパニーが揃っています。
大手と取引をすることによって社員それぞれの意識や仕事の内容も高まり、相乗効果でレベルが高まっています。
世界や地球を意識できる仕事
評判口コミ
ロボットなどの設備機器に興味があり、国内2番目のロボットエンジニアリング認定企業である豊電子を選びました。
現在の部署はSI制御技術部制御1課で、電気制御設計に携わっています。
オーストリアの方との共同での立ち上げの案件もあり、世界の製造シーンを支えるという意識で働けるのは嬉しいです。
また、豊電子工業が目標としている地球サイズの自動化・省力化に貢献するという考え方も魅力的で、独自の技術で世界の製造業の自動化を担うことに少しでも貢献できたらと思います。
豊電子工業は、世界シェア70%のアルミ合金系のダイカスト(鋳造)ロボットシステムにはじまり、トヨタ自動車からの「世界に類のない独自のロボット技術企業」という評価、“世界初”の「レーザ焼入れロボットシステム」、「蒸気加熱による炭素繊維の成形装置」、「プラズマによるアルミ合金の溶解装置」など、世界から高い評判を得ている企業です。
自ずと働いている社員も、自分たちの仕事が世界レベルであることを意識し、高いモチベーションを持って仕事に取り組んでいることがうかがえます。
豊電子工業の評判口コミまとめ
豊電子工業の評判口コミを調べると、働いている社員は自社の仕事内容に誇りや自信を持っていることが分かりました。
中小企業ではあるものの高い技術力で評判があり、世界に通用する製品を提供していることは誇りや自信にもつながっているようです。
取引先も自動車メーカーのトヨタや日産、ホンダ、自動車部品のグローバルサプライヤーのアイシン、世界最大級のセラミックスメーカーの日本ガイシ、大手電力会社の中部電力、重電・産業用電気機器メーカーのファナックなど大手の一流企業が揃い、レベルの高い仕事に携われることも社員の満足感を高めています。
トヨタ自動車も認めた豊電子工業の技術力
豊電子工業は高い技術力で知られる会社で、多くの受賞歴を誇ります。
中でも、日本が誇る世界トップシェアの自動車メーカー“トヨタ自動車”も豊電子工業のことを高く評価していて、トヨタ自動車が定めている「技術開発賞」を2回も受賞しています。
この技術開発賞は、最新技術を用いてトヨタの商品力向上に大きな成果をあげた仕入れ先に贈られるもので、機器メーカーとしては大変名誉なものとなっています。
1回目は「高周波誘導加熱電源の大幅な小型化およびコストダウンの実現」、2回目は「熱可塑性CFRP急速加熱機によるエネルギー使用量約80%削減、加熱時間約70%短縮という生産性大幅向上」が評価されました。
また、トヨタ以外にも多数の受賞歴があるので、豊電子工業の凄さを理解していただくためにも、受賞の数々を紹介していきます。
多様な受賞歴
豊電子工業の多様な受賞歴は技術力が認知され始めた1980年代から始まります。
2000年までには、日本産業用ロボット工業会によりエンジニアリング企業認定を受け(1982年)、日本電気協会から推奨キュービクル式高圧受電設備普及の貢献に対して感謝状を授与(1989年)、愛知県中小企業合理化優良受診企業として愛知県知事賞を受賞(1992年)しました。
2000年代に入っても技術力を高めることを怠らなかった結果、愛知ブランド企業認定(2003年)、トヨタ自動車から技術開発賞を受賞(2012年・2018年)しています。
さらに、愛知県より「愛知環境賞 銅賞」受賞(2015年)、がんばる中小企業・小規模事業者300社に選出(2015年)、「コンポジットハイウェイ・アワード2018」成形技術部門で準グランプリを受賞(2018年)しました。
近年も、平成30年度省エネ大賞省エネ事例部門で「経済産業大臣賞」を共同で受賞(2019年)したり、「FANUC ROBOT GLOBAL PARTNER RECEPTION 2019」で「Sales Award」を受賞(2019年)したり、令和6年度 かりや健康づくりチャレンジ宣言で優秀賞(銀賞)を授賞(2024年)するなど、技術力や会社としての取り組みが認められ、数々の認定、受賞歴を誇ります。
豊電子工業の評判高い先進技術開発
豊電子工業は機器メーカーとして評判が高く、すでに業界内で確固たる地位を確立していますが、現在も生産の現場の進歩のスピードは凄まじく、常に先進技術開発に努めています。
ここでは、『世界初』を次々と生み出す豊電子工業の評判高い先進技術開発を紹介します。
過熱水蒸気・熱風加熱システム
豊電子工業の過熱水蒸気・熱風加熱システムは、飽和水蒸気をさらに加熱した無色透明の熱放射性H₂Oガス(沸点よりも高い温度の水蒸気)により、炉内部を無酸素に近い状態にして、製品を素早く・均一に昇温させることが可能です。
これにより、金属製品の熱処理(焼き戻し等)や溶解前の予熱、繊維強化樹脂の軟化・熱硬化、洗浄・乾燥などが可能となっています。
IoTで実現するスマート工場
豊電子工業は、「IoT」(Internet of Things=モノのインターネット)を工場設備に取り入れています。
産業用ロボットなどの各種機器をIoTに接続することで、より高いリアルタイム性や、自律分散ができ、無駄なデータ流出の抑止や、通信コスト低減も実現しています。
ラインビルダーへの進化
豊電子工業のラインビルダー(Linebuilder)とは、製造現場の生産ラインを資材工場・部品工場・組立工場を問わずに一括システムインテグレーションするものです。
これまでは、システムインテグレーターとして製造業のシステム構築で大きな実績を挙げてきましたが、これからは生産ラインの企画提案・設計、生産ライン全体を構築できるラインビルダーへの進化を目指しています。
そのためには、制御装置、搬送装置、ビジョン、センサ、治具、フィーダといったロボット一つ一つをシステムとして組み合わせ、さらにその複数システムを有機的につなぎ合わせることが求められます。
生産ラインに深い知見を持つ豊電子工業は、トランスミッション加工ラインなどでラインビルダーとしての実現が目の前に迫っています。
冷却水不要のレーザ焼入れ
レーザの照射のみで焼入れを行う新しい熱処理技術が「レーザ焼入れ」です。
これまでの焼入れ工法では水や油などを用いたワーク冷却が求められましたが、レーザ焼入れでは、ワークの自己冷却を利用して焼入れを行うため、冷却工程を必要としません。
これにより、焼戻し、歪除去の工程が不要になって設備コストを削減でき、ワークの歪みの極限までの低減、耐摩耗性を向上させる表面改質といったメリットもあります。
実績豊富なインストラクターの指導が評判のロボットスクール
豊電子工業では、危険が伴う産業用ロボットの教示等の業務を行う方を対象としたロボットスクールを開校しています。
YUTAKAロボットスクールでは、労働安全衛生規則第36条31号(産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育)に基づき、安全教育、現場作業に活かせる教示等の学科・実技教育を行っています。
1993年に始まり、すでに述べ6,000人もの受講生がロボットの基本操作、位置の教示・修正方法などを学んでいます。
講師(インストラクター)は、現場経験豊富な作業員が担当し、参加者は少人数制のため疑問・質問への対応も良いと評判です。
ロボットオペレーターからシステムエンジニアまで、多種多様な職種の方が学び、「産業用ロボットの教示等特別教育修了証」を受け取っています。
まとめ
以上が豊電子工業について、概要や事業内容、評判口コミ、高い技術力などについて詳しく調べた結果です。
中小企業にもかかわらず、国内外で高い評価を受けている会社で、世界シェアが70%のシステムやトヨタから最大限の称賛を受けた技術など、その技術力は世界レベルと言えます。
高い技術力を活かして最先端の分野に進出・参入する先進性も持ち合わせている豊電子工業は、日本だけではなく世界6カ国にも関連会社を持つほどに発展しています。
今後もこれまでの知見やノウハウを活かして進化していくことが期待される会社であり、世界の技術発展に大きく貢献していくことでしょう。
会社概要
会社名 | 株式会社豊電子工業 |
設立 | 昭和47年12月18日 |
代表者 | 代表取締役社長 盛田高史 |
創立 | 1964年7月1日 |
資本金 | 4,500万円 |
従業員数 | 438名(2024年1月1日時点) |
本社/第1・2工場、事務棟 | 〒448-8533愛知県刈谷市一ツ木町5丁目12番地9 |
許可 | 電気工事業 愛知県知事許可(般-6)第69684号 機械器具設置工事業 愛知県知事許可(特-6)第69684号 |
登録 | ISO9001認証取得 (登録証番号:JQA-2294) ISO14001認証取得 (登録証番号:JQA-EM0850) ISO27001認証取得 (登録証番号:JQA-IM1966) OSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)(認定番号:TS15-213-618) (社)日本配電盤工業会JSIA優良工場認定登録 JSIA-4203 (社)公共建築協会 受配電設備評価登録 愛知ブランド企業認定 |
加盟団体 | 一社)日本配電制御システム工業会 東海配電盤工業協同組合 (一社)日本ロボット工業会(JARA) (一社)日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会) ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI) (一社)日本ダイカスト協会 中部ダイカスト工業協同組合 日本ダイカストマシン工業会 (一社)中部産業連盟 (一社)日本鋳造協会 (一社)電池サプライチェーン協議会 |