田中仁さんは、一代で日本のメガネ業界2位のメガネブランド「JINS(ジンズ)」を育て上げた経歴を持つ人物で、株式会社ジンズホールディングス(ジンズHD)の代表取締役社長を務めたり、バルミューダ株式会社などの社外取締役に選任されたりするなど、高い評判を受けている経営者です。
田中仁さんが創業した「JINS」が日本のトップクラスに立った理由は、軽量メガネのAirframeやブルーライトカット機能のあるJINS PCなどのヒットした人気商品があったためです。
本稿では、田中仁さんのプロフィールや生い立ち、経歴、CEOブログなどから、人物について深く掘り下げていきます。
また、バルミューダ株式会社などの社外取締役に選任された理由や株式会社ジンズホールディングス(ジンズHD)についても詳しく調べ、一般財団法人 田中仁財団で地域貢献活動(前橋まちなか活性化プロジェクト)を行っていることも紹介するので、田中仁さんの人物像から経営者としての才能、地域貢献活動まで、全てがわかる内容となっています。
- 田中仁のプロフィール情報
- 田中仁は早くから商売の道を志す
- 複数の大企業の社外取締役に選任
- 株式会社ジンズホールディングスの事業内容
- JINSが成功した田中仁の功績
- 田中仁の著書の評判
- 田中仁の人物像
- 一般財団法人 田中仁財団の活動内容
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田中仁とは?
田中仁さんとは、株式会社ジンズホールディングス(ジンズHD)の創業者で代表取締役社長(CEO)を務める人物です。
生まれは1963年1月25日で年齢は現在59歳(2022年現在)、出身地は群馬県前橋市です。
1988年には弱冠25歳でジンズの前身となる有限会社ジェイアイエヌを設立し、1991年には株式会社ジェイアイエヌに改組、そして2001年には福岡にJINS天神店をオープンし、メガネ業界(アイウエア事業)へと参入することになります。
その後、ジンズはメガネ業界で革命的とも言われた格安メガネや軽量メガネのAirframe、パソコンのブルーライトに効果のあるJINS PCといったヒット商品に恵まれ、日本メガネ業界のトップクラスへと躍り出ます。
現在、日本のメガネ業界は約800億円の売上を誇る株式会社メガネトップが1位ですが、ジンズHDの売り上げは600億円を超えて、1位の座を狙うという位置まできています。
経済界では経営者としての力が認められ、ジンズ各グループの社長にとどまらず、オイシックス・ラ・大地株式会社の社外取締役、日本通信株式会社の社外取締役、バルミューダ株式会社の社外取締役(現在は退任)、めぶくグラウンド株式会社の取締役などを歴任しています。
また、地元愛の強い人としても知られ、生まれ故郷の群馬県前橋市で一般財団法人 田中仁財団を立ち上げ、地域活性化や地域社会の発展に尽力しています。
最新の動向としては、2022年に全国で働くパートと準社員のベース時給を東京水準で全国一律化することを発表して小売業界に衝撃を与えました。これは、地域から日本を変える時代を見越したもので、田中仁さんはジンズで新しいメガネの常識を生み出したように、今でも、そしてこれからも精力的に日本の経済界で新たな価値創造を行っていく人物です。
プロフィール
- 名前:田中仁(たなかひとし)
- 生年月日:1963年1月25日
- 出身地:群馬県前橋市
- 居住地:東京都千代田区
- 学歴:伊勢崎商業高校卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 修士課程修了(2014年)
- 家族構成:妻と長男、長女の4人家族
- 趣味:事業活動、ウォーキング
田中仁の生い立ち
田中仁さんは、幼少期に通知表で「集中力がない」と書かれるほど学校の授業に興味がなく、机の前に5分と座っていられない性格で、勉強はあまり好きではなく成績が良いとはいえない少年でした。しかし、昆虫採集になるとカブトムシやクワガタを捕まえるために危険な場所へ行ってしまうなど、集中力を発揮すると大きな成果を出すタイプだったようです。
実家では両親が起業していて、母の実家も事業を営んでいるという、経営者の血が流れていたこともあり、伊勢崎商業高校に通う高校生の頃から自分でも商売をすることを決めていました。
高校卒業後は、その信念を貫くため、商売の勉強を目的に地元の前橋信用金庫(現しののめ信用金庫)に就職します。
そして前橋信用金庫での出納、融資、渉外といった業務でビジネスの厳しさやリアリティーを実感しますが、それでも起業に対する信念はゆるがず、前橋信用金庫を退職して1986年には株式会社スタジオクリップに入社し、その後1987年に服飾雑貨製造卸業のジンプロダクツを創業して、経営者としての第一歩を踏み出すことになりました。
田中仁の経歴
田中仁さんの経営者としての経歴を紹介します。
ジンズ社長としての経歴
1987年:服飾雑貨製造卸業のジンプロダクツを設立
1988年:有限会社ジェイアイエヌを設立(ジンズの前身)
1991年:株式会社ジェイアイエヌに改組
2012年:株式会社ブランドニューデイ(現株式会社フィールグッド)代表取締役社長に就任※フィールグッドはレディス雑貨事業及びメンズ雑貨事業から撤退し会社組織も解散・清算する予定
2012年:吉姿商貿(瀋陽)有限公司董事長に就任
2013年:睛姿商貿(上海)有限公司董事長に就任
2013年:睛姿美視商貿(北京)有限公司董事長に就任
2013年:JINS US Holdings,Inc.CEOに就任
2015年:台灣睛姿股份有限公司董事に就任
2019年:株式会社ジンズホールディングス代表取締役社長に就任
ジンズ以外の役員歴
2014年:田中仁財団の代表理事に就任
2015年:オイシックス株式会社(現オイシックス・ラ・大地株式会社)の社外取締役に就任
2019年:バルミューダ株式会社の社外取締役に就任(退任済み)
2021年:日本通信株式会社の社外取締役に就任
2022年:めぶくグラウンド株式会社の取締役に就任
バルミューダなどの社外取締役に選任された理由
一般的に社外取締役とは、社外から取締役員を招くことで、会社に対して客観的かつ中立的な立場からガバナンスの状況や経営が適正になされているかを監視・監督し、ステークホルダーを守るという立場の人物です。
2019年12月4日に会社法の一部を改正する法律が成立し、上場会社などに対して社外取締役を置くことが義務付けられ、日本でも一気に普及することになりました。
田中仁さんは現任、退任合わせて3社の社外取締役に選任されています。
バルミューダ株式会社の社外取締役選任の理由
長年にわたる経営者としての豊富な経験と幅広い見識が評価されて社外取締役に招聘されました。
社外取締役として期待されていたことは、バルミューダ経営陣から独立した客観的・中立的な立場から取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保することです。
また、一般株主と利益相反の生じるおそれがなく、独立性が高いことから、独立役員に指定されていました。
日本通信株式会社の社外取締役選任の理由
20代の若さでメガネ市場に参入して透明性と適正価格というイノベーションを起こし、業界最大手企業に成長させ、グローバルな事業展開を進めたことが評価されました。
社外取締役としては、創業者及びグローバル企業の経営者としての立場から、日本通信株式会社の意思決定の妥当性・適正性を確保し、業務執行を監督する役割が期待されています。
オイシックス・ラ・大地株式会社の社外取締役選任の理由
長年にわたり株式会社ジンズホールディングスの代表取締役を務め、経営者としての豊富な経験と幅広い見識を有していることが社外取締役に選ばれた理由です。
社外取締役としては、オイシックス・ラ・大地株式会社の経営を監督するとともに、経営全般に助言と意見することが期待されています。
田中仁が創業した株式会社ジンズホールディングス
1988年に田中仁さんが設立した有限会社ジェイアイエヌが始まりだった株式会社ジンズホールディングスは、売り上げが600億円を超える巨大な企業へと成長しました。
現在は、持株会社の株式会社ジンズホールディングスを中心に複数の事業を展開しているので、ここでは中心となる JINS事業、Think Lab事業、そしてその他の事業はどのようなものがあるのかを紹介します。
JINS事業
株式会社ジンズホールディングスの中心は今も変わらずメガネです。
格安のメガネを提供することで日本のメガネ業界の根底をひっくり返し、大ヒットとなった軽量メガネのAirframeやブルーライトカットのJINS PCは今でも人気商品です。
また、近年では軽量樹脂とβチタンを組み合わせたコンビネーションフレーム『Combination Titanium』が3年連続売上No.1になる新たなヒット商品になっていて、これからもメガネ事業でジンズホールディングスを引っ張ることが期待されています。
Think Lab事業
集中力を測定できるメガネ型デバイス「JINS MEME」の研究成果を用いて「世界で一番集中できる場所」というコンセプトのワークスペースの開発を行う事業です。
事業は株式会社Think Labが担い、ワークスペース運営、仕事環境用プロダクトの開発・販売、ワークスペースのコンサルティングなどを行います。
その他の事業
JINS、Think Lab以外には、農業を通じた障がい者支援で、すべての人が共に生活することができる社会を目指すJINS norma(ジンズノーマ)、食を通じたコミュニケーションで生活を豊かにするという飲食事業(ベーカリーカフェ)エブリパンがあります。
田中仁の実績とJINSのヒット商品
田中仁さんは、JINSを創業して一代で日本のメガネ業界で2位となる会社を築き上げましたが、その実績はどのような戦略から成し遂げられたのでしょうか。
ここでは、低価格を実現したSPA方式やヒット商品について調べました。
SPAによる低価格路線の確立
JINSでは低価格を実現するために、無駄なコストに注目しました。
企画・生産・流通・販売までを自社で一貫することで、中間マージンやブランド料金などのコストを大幅カットすることに成功しました。
これは、アパレル業界などでは近年導入が盛んになっているもので、Speciality Store Retailer of Private Label Apparelの頭文字をとってSPA方式と呼ばれています。
また、SPA方式にはコストカットだけではなく、ユーザーの声を反映した製品づくりが可能になり、低価格でユーザーが求める高品質な眼鏡が作れるというメリットもあります。
超軽量のAirframe
JINSはメガネをかける人たちにとって負担だった「重い」「疲れる」というデメリットに注目しました。
最初は軽くて柔らかい素材選びに始まり、医療用のナイロン樹脂が選ばれました。
次にしっかりとした掛け心地のあるデザインや重量バランス、サイズ設計などに苦心しながらもAirframeが生み出され、JINSで最初の大ヒット商品になりました。
今でもデザインは毎年リニューアルされ、累計販売数は1,700万個を超えています。
ブルーライトをカットするJINS SCREEN
JINS SCREENはパソコンやスマートフォンなどの画面から発せられるブルーライトをカットできるメガネです。
開発のきっかけは田中仁さん自身で、パソコンを使っていると目が疲れることから知人の医師に相談すると、ブルーライトの存在を知ったのです。
それからブルーライトから眼を守るためのメガネ開発に着手し、専門医や学術機関との共同研究によってブルーライトカットメガネは生み出されました。
ブルーライトカット率はレンズにより異なり、簡単な作業用、長時間のパソコン作業用というように使い分けができます。
著書「振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦」の評判
田中仁さんの著書「振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦」は、田中仁さんの経営者人生にスポットライトを当てた一冊です。
JINSでの成功ばかりが世に出ていますが、赤字や有頂天になって市場動向を見失うなど、人並みの失敗もしています。そういった失敗の積み重ねの上で、勝負をかける時は思い切る“フルスイング”のやり方で成功を納めてきました。
著書では、低価格路線、Airframeやブルーライトカットメガネの成功など、画期的なヒットを次々生みだす秘訣を紹介しています。
読者からの評判としては、「経営者目線で見ると共感できる」「チャレンジ力、実行力、思い切り、思考力の深さがよくわかる」「常に革新をという姿勢が参考になる」「ユニクロの柳井さんとの出会いが興味深い」「メガネ界のユニクロとも言われるJINSの成功の理由がわかる」などと田中仁さんの経営者としてのフットワークの軽さや、いざという時にフルスイングする実行力に対して賛辞の声が集まっています。
CEOブログから読み解く人物像
田中仁さんはJINSのホームページに不定期でCEOブログを綴っているので、そこから人物像を読み解きたいと思います。
「先に出すからこそ、入ってくるものがある」(2022年9月1日)では、準社員とパート従業員のベース時給を、東京水準に全国一律化することを発表しました。
これは、メガネや製造小売業だけではなく、日本の全業界でもほとんど例のない施策で、地域から日本を変えるという広い視野がなければできない決断です。
「ひとりひとりのアントレプレナーシップ」(2022年6月2日)では、起業家の専売特許と見られがちなアントレプレナーシップについて、組織の中にアントレプレナーシップを持った人が多くいることが重要だとしています。
つまり、主体性をもって工夫、挑戦する人材が大事だと説いていて、これまで以上にJINSという会社でチャレンジ精神を推進し、高いパフォーマンスをあげた社員には高待遇で報いるとしていて、成果主義の前向きな経営者であることを示しています。
一般財団法人 田中仁財団について
一般財団法人 田中仁財団は、「イノベーションを群馬から」を掲げて設立された財団です。
理念としては、前橋市をはじめとする群馬県の魅力ある都市形成と豊かな地域社会実現のため、文化・芸術の振興、起業支援等の地域活性化のための活動を促進し、地域社会の発展及び市民生活の向上に貢献するとしています。
起業家支援活動(GIA/GIS/GALOP)
一般財団法人 田中仁財団では、複数の起業家支援活動を行っています。
GUNMA INNOVATION AWARD(GIA)は、群馬の次代を担う起業家を発掘・奨励し、起業やイノベーションを通じて地域を元気にしていきます。
GUNMA INNOVATION SCHOOL(GIS)は、時代をブレイクスルーするような新しい技術、サービスのイノベーションに挑戦する起業家や事業継承者を育成するためのビジネススクールです。
GUNMA ALTRUISTIC LEADERS OPEN PLATFORM(GALOP)は群馬リーダーズオープンプラットフォームという意味で、「みんなでつくる、共感のひろば」をコンセプトに、次世代のリーダー育成を目的として、GIA、GISに続く新たな地域貢献活動に挑戦します。
地域貢献活動(前橋まちなか活性化プロジェクト)
市民にとってのまちづくりの道標となる「前橋ビジョン」を、官民一体となって共創するプロジェクトです。
地元の企業家による継続的な議論や岡本太郎氏の「太陽の鐘」をシンボルアートとして設置する、前橋市でワクワクするようなプロジェクトを多数進行するなど、多岐に渡る活動があります。
まとめ
以上が株式会社ジンズホールディングスの創業社長である田中仁さんの経歴や評判、JINSでの成功の理由、地元前橋での活動などについて調べた結果です。
経営者として非常に優れた視点を持ち、それを上回る行動力によって多くのヒット商品を世に送り出し、売り上げ600億円を超える大企業へと成長させた手腕は高い評価を受けています。
その実力が評価されて複数の会社の社外取締役にも選任され、有能な経営者としての目線からアドバイスを送り、監督・監査する役割を全うしています。
そのほかにも、地元前橋での地域貢献活動や準社員とパート従業員のベース時給を東京水準に全国一律化するなど、日本の地域社会の活性化にも大いに貢献している人物です。
田中仁さんは単なるメガネ業界の雄ではなく、日本の産業界にとって大きな影響力を持つ有能な経営者であることが分かりました。
会社概要
商号 | 株式会社ジンズホールディングス |
所在地 | 【東京本社】 〒102-0071 東京都千代田区富士見二丁目10番2号 飯田橋グラン・ブルーム30F 【前橋本社】 〒371-0046 群馬県前橋市川原町二丁目26番地4 |
設立 | 1988年7月 |
資本金 | 3,202百万円 |
上場市場(証券コード) | 東京証券取引所 プライム市場(3046) |
従業員数(連結) | 3,599名[1,434名]([外書]は準社員等/2022年8月末現在) |
事業内容 | 下記事業を営む子会社等の事業活動の支配及び管理 アイウエア及び服飾雑貨の企画、製造、販売及び輸出入 ウェアラブル端末およびそれらの関連商品の企画、開発、製造、加工、販売、賃貸、保守および輸出入 医薬品、およびそれらの関連商品の販売および輸出入 |