データやAIに投資したのに、なぜ成果につながらないのでしょうか。
今回お話を伺ったのは、2026年7月に株式会社ギーカーズラボから社名を変更した、株式会社SaRの代表取締役・郡谷崇広さんです。
同社は「データとAIを使って企業の課題解決をする会社」。郡谷さんは、戦略・基盤・分析と部署が分かれるなかで、立てた戦略が途中で“落ちてしまう”ことが多いと話します。
社名に込めた思い、ワンチームで戦略から実装までを担う体制、社員に浸透させている「問いを問い直す」という合言葉、実際の支援事例まで、評判や口コミだけでは分からないSaRの強みと特徴を伺いました。
後半では同社の菱田さんにも加わっていただき、ミッション「人類の時間を取り戻す」の背景を語っていただいています。
※本記事は、株式会社SaR 代表取締役・郡谷崇広さんへの取材をもとに作成しています。

郡谷 崇広さん
株式会社SaR 代表取締役。創業者ではなく、昨年社長としてジョイン。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の再考と社名変更を手がけ、データとAIの「真の一気通貫」に向けた戦略変更を進めている。
株式会社SaR(旧 株式会社ギーカーズラボ)
https://sar-inc.co.jp/
「データとAIで企業の課題を解決する」ギーカーズラボからSaRへ社名変更した理由
SaRは2026年7月、ギーカーズラボから社名を変更しました。きっかけは、新しく考えたミッションと旧社名がつながっていなかったことだといいます。
インタビュアー:早速ですが、SaRさんのお仕事をまったく知らない方に一言でご説明いただくとしたら、どのように説明されますか?
郡谷氏:データとAIを使って、企業の課題解決をする会社になりますね。
インタビュアー:ありがとうございます!もともとはギーカーズラボさんという会社だったと思うんですけれども、前の社名の時代から、事業内容は変わらずという認識で合っていますか?
郡谷氏:そうですね、変わらないです。それと、私は創業者ではなくて。
インタビュアー:あ、そうだったんですね!
郡谷氏:はい。昨年、社長としてジョインをして、今に至るというところですね。
インタビュアー:失礼いたしました!なるほど、では社名変更の少し前に代表に就任されて、社名変更もされて今に至る、と。
社名を変えたきっかけやどういう思いで名前を変えたのか、というあたりは、郡谷さんが携わっていらっしゃる部分になるんですか?
郡谷氏:おっしゃるとおりです。
インタビュアー:もしよければ、そのきっかけや、新しい社名に込めた思いを聞かせていただけますか?
郡谷氏:ありがとうございます。もともとMVVを再考したんですね。
ただ、新たに考えたミッションと「ギーカーズラボ」という社名が、しっかり接続されていなかったんです。なので、接続しなきゃなというところで、社名をSaRに変えました。
「Solve and Reclaim(ソルブ・アンド・リクレイム)」というところで、人類の時間を取り戻すということ。
あとは、新たな戦略とも完全に接続された形を取りたくて、社名を変更しました。
インタビュアー:なるほど、ありがとうございます!
「作ったのに使われない」データ・AI投資が成果につながらない理由
SaRが発信している「投資したのに成果が出ない」という課題。郡谷さんは、AIを導入しても投資対効果を出せている企業はごくわずかだと話します。
インタビュアー:今のミッション・ビジョン・バリューや社名変更の経緯にもつながると思うんですけれども、
公式サイトやPR TIMESで発信されている「投資したのに成果が出ない」という言葉が、すごく印象に残っていまして。
すみません、ちょっと私の話になっちゃうんですけど、前職は旅行会社にいたんです。部署ごとに使っているシステムが違ったり、
M&Aした会社で使っていたシステムがまた違ったりして、ごちゃごちゃになりすぎて統合しようという動きになったんですね。
郡谷氏:うん。
インタビュアー:でも、もともと自分が使っていたやり方から変わるのがすごく嫌だという方が多くて、結局全然浸透しなかったんです(笑)。
私はその途中で辞めたので結果までは見届けていないんですけど、いろいろなところで起こりがちな課題だと思っていて、御社の言葉と重なって印象に残ったんです。
郡谷氏:なるほど。そうですね、マサチューセッツ工科大学のレポートだったかな。
AIを導入しても、ROI、つまり投資対効果をしっかり達成している企業は5%未満というのが出ているんですよね。
だから、作ったのに使われないとか、そもそも投資したのにその分のインパクトが出ないということは多々あって。
大手さんが絡んだりと、いろいろ政治の領域も絡んでくるので、難しいところもあるんですけれども。
インタビュアー:はい。
郡谷氏:一気通貫って、トレンドではあると思うんですけど、実際にできているところは少ないので。
ここで真の一気通貫をやっていきたいということで、戦略を完全に変更しております。
戦略が「途中で落ちる」。部署で分断させないワンチーム体
戦略を立てても、それに基づいた実装がされない。郡谷さんはその原因を、部署ごとに工程が分かれることで「文脈が落ちてしまう」点にあると見ています。
インタビュアー:その戦略変更について、もしお聞かせいただけるところがあれば、具体的にどんなことをされているのか伺ってもいいですか?
郡谷氏:大手さんに限らずですけど、戦略を立てて、次に基盤を整備して、可視化・分析と、いろんな工程がある中で、そこがしっかり引き継がれていないんですね。
例えば最初に立てた戦略と、それに基づいた実装がされていないということが多い。
なので、そこを攻めればいいだろうと、シンプルに思ったので、そこを攻めていると。
じゃあ、なんで引き継がれていないかっていうと、戦略の部署とか基盤の部署、分析の部署って部署で分かれていて、立てた戦略が途中で落ちちゃうんですね。
文脈として落ちちゃうので、引き継がれない。あとは、実装は子会社に任せるとか。
インタビュアー:ああ……。
郡谷氏:言葉は悪いですけど、戦略を立てて、あとはもうきれいな絵だけ描いていなくなるとか、システムを作って納品して、運用しないでいなくなるとか。
そういった声をすごく聞いたんで。
だから私たちは、一気通貫でしっかりワンチームでこなしていこう、ということで、まず一気通貫をうたっているというのがあります。
ただ、まだ戦略の領域、コンサル領域はそこまで切り開けていなくて、うちで言うとまだ2割ぐらいなので。
その領域を切り開いていくために、普通のSES会社から、言ってしまえばコンサルファーム側への移行を、戦略変更としてみんなに周知した、という感じですね。
インタビュアー:御社の場合、データサイエンティストやデータエンジニアなどの専門人材が約8割というのも拝見したんですけれども、
技術をやる人と、頭を動かす人といいますか、コンサルティングの領域をやる人も、同じ方が一気通貫で入ってくださる形になるんですか?
郡谷氏:いや、同じ人ではないですね。
一応、戦略のリーダーがいて、実装のリーダーがいて。
ただ、この1案件を完成させるのにワンチームでやっている、という形です。
だから、部署で文脈が落ちることはないんですね。
インタビュアー:あ、なるほど!ありがとうございます。
「作った時間を何に使うか」まで語れる人材を育てたい
今は実装が8割、戦略が2割。それでも戦略の領域を広げようとしているのは、ミッション「人類の時間を取り戻す」につながる理由がありました。
郡谷氏:これも実際、「人類の時間を取り戻す」というミッションに基づいていて……。こんなに喋るもんですか?(笑)
インタビュアー:もう、めちゃめちゃ聞かせていただきたいです!私のリアクションが薄かったですね、申し訳ありません(笑)。
郡谷氏:(笑)。今はまだ、実装が8割、2割戦略といったところなので。
実装をして、業務を効率化して、お客様の時間を生み出すところまではできているんです。
ただ、その生まれた時間を何に使うかまでは、まだ私たちが関われていないんですよね。本当は、創造的なことに当ててほしいんですけど。
インタビュアー:確かに!
郡谷氏:せっかく時間が生まれても、使い道まで描けていなければ、日々の業務に埋もれてしまうかもしれない。そこまでは、まだ見据えきれていなかったので。
だから、業務効率化で生まれた時間を、お客様が創造的な活動につなげられるところまで見据えて提案できる。そういう時間の使い方まで、戦略で語れる人材を育成していきたいなと思って。
戦略の領域も広げていくと、これでやっと真の一気通貫になるので。
合言葉は「問いを問い直す」。疑う気持ちこそが人間の価値
戦略から実行までを一気通貫で担うには、担当者がどこまで顧客を理解できるかが問われます。SaRでは、「問いを問い直す」という合言葉を社内に浸透させています。
インタビュアー:今のお話を伺って、入ってくださる方のクオリティがめちゃめちゃ大事だなと思ったんです。
戦略を立ててくださる方が、どこまで自社のことを正しく理解して、本当に自社のためになる提案をしてくださるかって、属人的になりがちな領域かなと。
属人的にならないようにするために、例えば社員の方にこういう教育をしている、といった取り組みはありますか?
郡谷氏:それで言うと、いろいろありますけれども、「問いを問い直す」という合言葉がうちにはあって。
要は、お客様から言われたことを鵜呑みにせずに、「本当にそうなんでしょうか?」と一度問いを立てる。
そして真のインパクト、より多くのインパクトを出していく、ということは徹底していますかね。疑うという気持ちですね。
インタビュアー:なるほど。
郡谷氏:はい。忖度してやりづらかったとしても、「本当にそうでしょうか?」と問いを立てていくことによって、他社との差別化にはつながりやすい。
もしそれがうまくいけば、「言うとおりにしてよかった」と、感動もかなり高い点でもらえるのかなと思って。
問いを問い直すというところは、ワークショップを開いたりとか。
インタビュアー:へえ!
郡谷氏:やっていますかね。ここができるようになれば、社員それぞれ技術者としても、普遍的な価値を身につけられるんじゃないかと。
言われたとおりやるなら、たぶん誰でもできるし、今後で言うとAIで十分かもしれない。
人間の価値っていうのは、そういった疑うという気持ちそのものだと思うので。
そういった取り組みは、ひとつやっていますかね。
インタビュアー:確かに、お客様がおっしゃる課題が、そのままイコールその会社の課題かというと、たぶんそうじゃないですもんね。
その言葉が出てくるまでに裏にいろんなストーリーがあったりして、そこの想像力も膨らませていかないといけない領域ですよね。
郡谷氏:うん。
インタビュアー:今、その部分の具体的なところを伺えてよかったです!ありがとうございます。
使われていなかったシステムを作り直し、月31時間の工数削減へ
印象に残っている支援事例として郡谷さんが挙げたのは、別のベンダーが作ったものの使われていなかった仕組みを、基盤から作り直したケースでした。
インタビュアー:最後に2つだけ伺いたいんですけれども、これまでSaRさんが取り組まれた企業様の中で、特に印象に残っているお客様がいらっしゃれば、エピソードも交えて教えていただけますか?
郡谷氏:難しいな……。
インタビュアー:急な質問ですみません(笑)。
郡谷氏:いや。でもシンプルに、もともと作っていたけれど使われていなかったものを、弊社が使われる形に作り直しました。
その結果、工数で言うと月31時間ぐらい削減になりました、というのがもうシンプルに嬉しかったですかね。
企業名はさすがに言えないんですけど、まずそのクライアントさんが、とても大きな会社さんで。
我々が初めて商談したときに、あるベンダーさんが入って作ってくれたはいいけど、使えない状態で渡されていなくなった、というのが本当にあったんですね。
そこを我々が入って、基盤から作り直して。本当に成果が出てくるのはこれからですけど、削減にはなっているので、そこが一番嬉しかった。
弊社よりも全然大きい会社なので。
インタビュアー:それはうれしいですね。
郡谷氏:はい。こういった声が結構多いですかね。
そういった事例が結構多くて、今回お伝えしたのが一番分かりやすいかなと思いますけれども。
インタビュアー:ありがとうございます!
「無名の看板」をうまく使え。看板がないからこそ身につく力
社名が変わったばかりで、まだ知られていないSaR。郡谷さんは、その「看板のなさ」こそが社員を成長させると話します。
インタビュアー:ありがとうございます。嬉しいですよね!
もともとはめちゃめちゃ名の知れている大企業様とお取引されていたところから、
分かりやすく「SaRさんに頼んでみてよかった」とおっしゃっていただけるインパクトは、やっぱり大きくなる気がします。
郡谷氏:そうですね。こういった案件の勝ち取り方というか、完成のさせ方だと、社員の成長にもかなりつながっていくんですね。
SaRって、かなり無名だと思うんですよ。大体の企業さん、9.9割が社名を聞いても「はて?」って感じだと思うんですね(笑)。
インタビュアー:はい。まだ新しくなったばかりですしね。
郡谷氏:看板がない中で成果を出していくことって、本当に大変だと思うんです。
看板がある会社よりも、相当納得のいくことを伝えていかなきゃならないので。看板がない状態で相手を納得させる。
それこそが、ビジネス力だったり、本物の技術だったりが必要になってくるところで。
これを乗り越えた人は、普遍的な価値をそれこそ身につけることにつながる。
コンサルをやるにしても、大手の看板を背負えば、それっぽいことを言えば進んでいったりするもんだと思うんですよ。
それができないので、相当大変な思いはするけれども、力は身につけられる、というところで。
「無名の看板をうまく使ってくれ」というのはよく言いますかね。
インタビュアー:ありがとうございます!確かに、社員さんにとっても、気持ちが燃え上がりそうですね!
「人類の時間を取り戻す」に込めた、これからの日本への思い
インタビューの最後には、同社の菱田さんにも加わっていただき、ミッション「人類の時間を取り戻す」に至った背景を伺いました。公式サイトではあまり語られていない部分です。
インタビュアー:その他に伝えたいメッセージや、お伝えし忘れたことがあればお受けしますが、いかがですか?
郡谷氏:先ほど、なんで「人類の時間を取り戻す」というミッションにしたかっていう経緯を、菱田から話すとお伝えしていたと思うんで。菱田から伝えると思います。
インタビュアー:では菱田さん、よろしいですか?
菱田氏:あ、今ですね!はい(笑)。
前提として、日本の人口が少なくなっていく中で、1人当たりの労働生産性が求められるよね、というところだったり。
少子高齢化で働き手が少ない中で、高齢者を支えていかないといけない、みたいな。
今後の日本を支えていくには、やはりこういったデータの領域で、まさに人類の時間を取り戻していきながら、人間らしい生活をしつつ。
やはり世界ですね、アメリカとかは本当に大きな会社がどんどんできている中で、日本はもう負けていると思うので、
そこに創造性を持って業務に当たれるように、事業を作っていけるように。
そんな思いも込めて、ミッションを作っているのかなと認識しているんですが、郡谷さん、どうでしょう?
郡谷氏:大枠というか、普通にそのとおりかなと思います。
最初は「人類の生産性を最大化する」だったんですけど、もう一歩あるなと。
じゃあ最大化した後、時間を作ってあげた後に、そこを創造に当ててもらわないと、この日本はまずいなと。
というところで、「人類の時間を取り戻す」。社会貢献なんですよね。
実際、人口は減っていくじゃないですか。増やせないし。となると、本当に生産性を上げるしか基本ないので、まずはそこを入り口として。
ただ、時間を作ってあげても、創造に時間を当てないかもしれない、というところで、さっきの戦略につながっていく、というところですね。
インタビュアー:ありがとうございます!背景のところまでは、たぶんあまり他のサイトにも書いていらっしゃらない部分ですよね。
今伺えて、より一層納得感が持てました。本日は本当に貴重なお話しありがとうございました!
郡谷氏:ありがとうございました。
株式会社SaR(旧ギーカーズラボ)についてのQ&A
まとめ:郡谷さんの話から見えた、株式会社SaRの3つの軸
1つ目は、戦略を途中で落とさない「一気通貫」の体制です。部署ごとに工程が分かれ、戦略が実装まで引き継がれないという課題に対し、SaRは1案件をワンチームで担っています。
2つ目は、「問いを問い直す」という合言葉です。お客様の言葉を鵜呑みにせず、一度疑って問いを立てることを、ワークショップなども通じて社内に浸透させています。
3つ目は、ミッション「人類の時間を取り戻す」です。人口が減っていく日本で生産性を高め、生まれた時間を創造に当ててもらうために、実装だけでなく戦略の領域にも踏み込もうとしています。
取材の中で、「人間の価値っていうのは、疑うという気持ちそのものだと思う」と郡谷さんが語っていたのが印象的でした。
会社概要
| 社名 | 株式会社SaR(旧 株式会社ギーカーズラボ) |
| 代表者 | 代表取締役 郡谷 崇広 |
| 所在地 | 東京都港区芝大門1-1-23 Axon HAMAMATSUCHO 7F |
| 設立 | 2022年4月15日 |
| 事業内容 | データ分析に関わる実務支援・コンサルティング、生成AI開発技術支援 |
| 公式URL | https://sar-inc.co.jp/ |















