布川製作所は1885(明治18)年の創業以来、室内向け木製ドアや枠材、造作材など住宅内装部品の企画・製造から販売、施工管理まで一貫して手がけている老舗企業です。
この度、社長の布川様にインタビューを行い、老舗企業としての歩みや商品の特徴、将来ビジョンなどについてお話を伺いました。
布川社長の経営姿勢が、ビジネスや職場環境にどのように反映されているのかを検証します。
※当コンテンツはアフィリエイト等を目的として、試供品または取材費をいただいて記事を掲載しています。
この記事の目次
布川製作所 創業からのターニングポイントについて


創業から140年の歴史をさかのぼり、ターニングポイントとなった出来事はありますか?

2つあったと認識しています。
まずは、有限会社へと法人化したことです。
当社は1885年に布川建具店として創業したのですが、はじめは地域の職人が集まった商店のような業態でした。
法人化したのは1952年のことで、太平洋戦争への徴兵を終えて帰ってきた3代目社長が、有限会社布川建具製作所という会社組織にしました。
それまでは、徳島県内や四国向けに商売をしていたのですが、当時は県内に同じような規模のメーカーがたくさんありました。
ところが、そのような会社は軒並み倒産・廃業していったため、全国展開を目指さなければならないと考えて法人化に踏み切ったとのことです。
2つ目のターニングポイントは、1994年の新社屋・新工場の操業開始です。
以前の社屋・工場は住宅地にあったのですが、マリンピア沖洲という工業団地に移転しました。
新工場が完成したことで生産性が高まり、製造ライン設備も業態に合ったものとなりました。
最近になって、工業団地の付近には高速道路のインターチェンジが整備され、物流の利便性も高まりました。
布川製作所の商品について


どのような商品を製造・販売しているのですか?

マンション向けの室内の木製ドアがメインです。
一般的なマンションで使われるドアは、木目が印刷されたシートを表面に貼っただけのものが多いのですが、もう少し特徴を出したい場合は、塗装のドアが使われます。
天然木の突板の上に色を塗るのですが、このようなオーダーメイドのドア作りに対応しているメーカーは、実はあまり存在しません。
そのため、そのようなドアが求められる高級マンションなどでは、デベロッパーやデザイナーの方からオーダーをいただいています。

最近の例としては、建具の表面に職人の手で金箔や銀箔を施工したケースがあります。
木目調シートを貼るドアを作るメーカーはたくさんありますが、当社は特殊な技術を用いるドアを得意としています。
一般的にはコストパフォーマンスが良いドアの需要が多いのですが、特徴的なドアが欲しいというお客様のニーズには、しっかり応えられると思っています。
布川製作所独自の技術について

自社ならではの優れた技術もあるということでしょうか?

強化紙ウレタン塗装を施している「タグロス内装ドア」は、当社ならではの技術力を活かした象徴的な商品です。

木目をプリントした強化紙にウレタン塗装をかけて仕上げるのですが、塗装には静電塗装機を使っています。

家具製造で用いられる静電気塗装機を使うには、塵やほこりをドアに付着させない技術が必要ですが、当社にはそのノウハウがあります。
全国でも当社にしかない高い技術を活かすことで、粒子が細かくしっとりとしたきれいな仕上がりのドアを製造しています。
顧客満足度の向上とお客様からの評判


お客様の満足度を高めるため、努力されていることはありますか。

マンションの新築工事には、あらかじめ定められた工期が存在します。
工事はそのスケジュールに沿って進められますが、たくさんの施工業者が動く中では、スケジュールに遅れが出て「ドアの取り付けを急いでほしい」と求められることもあります。
時には「ドアの色を変更してほしい」というリクエストもあるのですが、そのような場合も、当社は「お客様にご迷惑をおかけすることは絶対にしない」という信念を貫いて対応しています。
新たに資材を確保しなければならないことや、コストがかさんでしまうこともありますが、「お客様のためなら会社の負担もやむを得ない」という考え方に立って仕事をしています。
お客様とは長期的な信頼関係を構築するように心がけており、間違ったドアを作ってしまったときも正直にお伝えする誠実な姿勢が大切だと考えます。
その積み重ねにより、「あの会社に頼めば工期を守ってくれる」「困ったことがあれば、きちんと対応してもらえる」という印象を持ってくださればという想いもあります。
また、そのような印象が広がることで、お客様に提供できる付加価値も高まると考えています。

布川社長のお話からは、「製品を通じたお客様とのつながり」を大切にしている姿勢が強く伝わってきました。
働きがいや社員からの評判

社員の皆さんは、自分の仕事にどんな働きがいを感じていると思いますか?

100%オーダーメイドのドアを作っている老舗メーカーで仕事をしていることに、誇りと働きがいを持っていると思います。
また、当社の場合は社員数がそれほど多いわけではないこともあり、部署間の垣根のようなものがありません。
そのため、異なる部署同士の社員が気軽に話ができる環境で、社内の雰囲気もとても良好です。
社員の多くは、そのような職場で楽しみながら仕事ができることに、働きがいを感じていると思います。
加えて、一生懸命に仕事をすれば給料やボーナスが上がるほど業績を保てているので、物質的な意味でも働きがいを得られる環境です。
何よりも、会社の評価を高めることが自分自身に返ってくるという意識を、モチベーションの源泉としている社員が多いと感じています。
布川製作所の社員に求める人物像について


社員に求めるのは、どのような人物像ですか?

ものづくりに情熱を燃やせることです。
その上で、自ら積極的な姿勢で仕事に取り組めることも重要です。
施工現場では、お客様に満足していただくために、ときには厳しいフィードバックを受けることもありますが、成長意欲を持っている方は活躍していただけると思います。
布川製作所の将来ビジョンについて

創業150年、200年を見据えた将来ビジョンは描いていますか?

国内の住宅マーケットは、どんどん小さくなっていくと言われています。それでも自社の市場を拡大することにより、安定的な経営を守っていきます。
福利厚生をさらに充実させたいという考えもあります。社員同士が活発にコミュニケーションを取り合える機会も増やしたいと思っており、全社員が参加できるイベントもイメージしています。
もちろん、全社員一斉に参加するイベントだけでなく、少人数のグループによるサークル活動なども想定しています。それらの取り組みに必要な費用については、会社として補助をする考えです。
また、当社は徳島県・公益社団法人徳島森づくり推進機構に賛同し、「森づくりパートナー」として活動していますが、近年は住宅を購入されるエンドユーザーも環境に対する意識が高まっています。
マンション建築に関係するすべてのメーカーも、環境を意識しながら仕事に取り組む必要がある時代となった中、当社としてもさらに積極的な環境保全活動を展開していきたいと考えています。
布川社長からのメッセージ


この記事を読んでいる人へ伝えたいメッセージはありますか?

マンション向けの木製ドアの製造・販売によって全国展開しているメーカーは、あまりありません。
特に、当社のように沖縄県にも出店しているようなメーカーは少なく、そういう意味では全国各地でビジネスができる面白さは感じられると思います。
また、例えば徳島県の高校生や大学生の中には、若いうちは県外でさまざまな経験を積み、いずれはUターンをしたいという考えの方もいらっしゃるかと思います。
当社は、そのような希望にも十分応えられますし、実際に東京で結婚して帰ってきた社員もおります。

自らのライフステージに合わせて柔軟に働ける会社だと思いますので、ぜひ入社を検討していただけたらうれしいですね。
まとめ
今回のインタビューを通じて、布川社長が大切にしている経営姿勢と、思い描く未来などをお聞きすることができました。
まさに、「お客様のために」という理念を貫き、社員の働きやすさも尊重する考え方が印象的でした。
さらに、優れた技術を活かしたオーダーメイドドアがどのような進化を遂げていくのか、今後の展望にも期待が膨らみます。
創業から1世紀以上にもわたり、人々の暮らしを豊かで快適なものにしてきた布川製作所のさらなる発展に注目したいと思います。
会社概要
| 社名 | 株式会社布川製作所 |
| 代表者名 | 代表取締役社長 布川 嘉衛 |
| 本社 | 〒770-0873 徳島県徳島市東沖洲2-5(マリンピア沖洲) |
| 連絡先 | TEL:088-664-6300[代] FAX:088-664-6301 |
| 創業 | 1885(明治18)年 |
| 設立 | 1956年(昭和31年)12月21日 |
| 資本金 | 9,500万円 |
| 従業員数 | 164名(2025年1月現在) |
| 事業内容 | 室内ドア・枠・洋室部材・和室造作材・家具・プレハブ住宅関連内装資材・生活関連部材 |
















