
「教育カウンセラーとは、どんな仕事なの?」
「教育カウンセラーになるための難易度はどれくらい?」
「スクールカウンセラーとは役割が違うの?」
「どんなキャリアパスで年収アップできるのか知りたい」
といったように、教育カウンセラーの職業が気になっているのではないでしょうか?
教育カウンセラーの役割は、教育現場における生徒の進路相談やメンタルヘルス、問題解決の後押しをする専門カウンセラーです。
取得する教育カウンセラー資格の等級にあわせて、教育現場での責任の重さや収入が上がります。
この記事では、「教育カウンセラーになるための難易度」から「資格取得の道のりや年収」について解説しています。教育カウンセラーに興味がある方は、最後までお読みください。
- 教育カウンセラーの役割と働くやりがい
- 教育カウンセラーの資格と等級
- 教育カウンセラーの年収やキャリアパス
- 教育カウンセラーに求められるスキル
興味のある内容から読む!
教育カウンセラーとは?
教育カウンセラーとは、教育現場において教育カウンセリングを施すプロフェッショナルです。
学校の生徒や教師、保護者を対象に、カウンセリングによる教育現場の改善を目的にして活動しています。
- 学級経営
- 生徒指導
- 進路指導
- 道徳教育
- 家庭訪問
上記の悩みに対してカウンセリングの提供から、生徒の不登校や学習意欲の低下などの悩みに応じた健全な学校生活をサポートします。
なお教育カウンセラーの資格には、初級・中級・上級の3段階があり、NPO日本教育カウンセラー協会が認定している資格を取得する必要があります。
資格の等級や内容については後述しているので、ぜひ参考にしてください。
教育カウンセラーの4つの役割
教育カウンセラーには、以下の4つの役割があります。
- 学業や進路のサポート
- メンタルヘルス
- 生徒が抱える課題の解決
- 親や教師との連携
それぞれの役割についてみていきましょう。
学業や進路のサポート
生徒の相談に乗り、理想の進路に進めるようサポートします。生徒の学習能力を把握したうえで、適切な方向性を提示することが大切な役割です。
例えば、「将来の進路がみえない」や「勉強についていけない」などの、生徒の悩みを聴いていき、取り組むべき課題を明確化します。
メンタルヘルス
生徒の心の悩みを解決する重要な役割を担います。家庭や教師、友人との人間関係の摩擦から、生徒はさまざまな心の悩みを抱えることが少なくありません。
例えば、「友人関係やクラス内でのトラブル」「家庭環境から生じる心の問題」「不登校や学業不振」などの問題が教育現場で起きることが想定されます。
これらの生徒の悩みに対してカウンセリングを行って、生徒が健全なメンタルを維持できるように努める重要な役割なのです。
生徒が抱えている問題の解決
生徒の心の悩み以外でも、直面している問題を解決できるよう導くのも大切な役割のひとつです。
- 勉強の難易度が高くてついていけない
- いじめで心が折れそうになっている
- 教師の指導内容に納得できない
など、生じた問題の原因を特定して対策します。
親や教師との連携
生徒の悩みを解決するために、ご両親と学校が協力できる体制を整えるのも仕事のひとつです。そのため、生徒に限らず両親や教師に対してもカウンセリングを提供しています。
なぜなら、生徒の心の悩みを解決したとしても、両親や教師の対応に問題があると本当の問題解決には至らないからです。したがって、生徒以外へのカウンセリングも大切な業務の一環になるのです。
以上が教育カウンセラーの役割です。
教育カウンセラーは、生徒の自己理解と自己成長を促進する役割を担います。カウンセリングから自身と向きあわせた結果、生徒に前向きな行動を促します。
教育カウンセラーとして働くやりがい
ここでは、教育カウンセラーとして働くことで得られる「やりがい」について紹介します。
生徒の成長を間近で感じられる
働くやりがいは、生徒が困難を乗り越えて、成長していく姿を見守れることが挙げられます。
不登校や学業不振に悩む生徒が、学校生活に戻ったり、目標に向かって努力する姿をみられたりと、大きな喜びを感じられることでしょう。
カウンセリング後の生徒の自発的な行動に、仕事のやりがいを感じます。
人の役に立てているという実感が得られる
教育現場の改善に取り組むことで、信頼される存在になれることが仕事の満足感につながります。
その結果、生徒の安心できる学習環境作りに貢献できることが喜びに変わります。
自己成長の機会が得られる
さまざまな生徒と関わることから、スキルや知識を向上させられます。これにより、新たなカウンセリング手法や教育理論を学べることがやりがいにつながります。
また、教育カウンセラー資格の等級が上がると組織単位でのリーダーシップを求められます。責任ある仕事を達成した際に、自己肯定感が上がることにやりがいを感じます。
教育カウンセラーとスクールカウンセラーの違いとは?
教育カウンセラーは、教育現場でのカウンセリングマインドを取り入れて、教育活動を改善していくお仕事です。問題の経過が長い子どもの問題への対応が中心となります。
一方でスクールカウンセラーは、生徒の心の問題を解消する心理カウンセリングの専門家です。カウンセリングの観点から、子どものメンタルヘルスを守るのが主な役割です。子どもの問題への予防的、 成長促進的な対応や問題の初期段階での対応が中心です。
教育カウンセラーになるには?資格取得までの道のりと必要な準備
カウンセラー協会から認定されている資格の等級は次の3段階です。
- 初級教育カウンセラー
- 中級教育カウンセラー
- 上級教育カウンセラー
初級の資格を取得後に、認定条件を満たしていれば中級と上級の資格認定試験を受験できます。
では、それぞれの資格と等級の特徴についてみていきましょう。
初級教育カウンセラー
初級は、教育現場での基本的なカウンセリング技術を学びたい方向けの資格です。
初級になるには、以下の条件をクリアする必要があります。
初級教育カウンセラーの取得条件
- 22時間以上の研修講座を受講かつ、教育カウンセラー養成講座での試験での合格
- 教育カウンセリング(相談・援助)実務経験が2年以上ある
- 認定申請自己評価票で11ポイント以上を獲得
- 認定試験に合格
認定申請自己評価票とは、資格認定の際に、その資格にふさわしいかどうかを自己評価するための書類のことです。
資格を取得すると、日常の教育活動に活用できるカウンセリング技術を習得できます。つまり初級の資格は、基礎的なカウンセリングスキルを学べる等級なのです。教育カウンセラーを目指す場合は、ここからはじまります。
中級教育カウンセラー
中級は、教育現場でガイダンス・カウンセリングのリーダーとして活動できる資格です。
ガイダンス・カウンセリングとは、教育現場において、子どもたちの成長をサポートする専門的な活動を指します。子どもの学習や社会性、健康面における発達支援のリーダーとして活躍できます。
取得条件に関しては、初級の資格を有していることが前提条件です。なおかつ、教育カウンセリングの実績5年以上を求められる難しい資格です。
中級教育カウンセラーの取得条件
- 相談・援助の5年以上の実績
- 認定申請自己評価票で21ポイント以上を獲得
- 中級カリキュラムに習熟して認定試験に合格する
中級は、子どもたちを支える力を伸ばせる資格です。試験をクリアすれば、実践的スキルとリーダーシップが手に入るでしょう。
上級教育カウンセラー
上級は、専門性を活かしたスーパーバイザーや講師として指導できる資格です。
ほかの人を教育できるレベルのため、資格取得の難易度が高めになっています。7年以上のカウンセリング実績と初級、中級カリキュラムの内容を習熟している必要があるからです。そのため、教育カウンセラーを育成するための知識の深さと実績が求められるでしょう。
上級教育カウンセラーの取得条件
- 相談・援助の7年以上の実績
- 認定申請自己評価票で29ポイント以上を獲得
- 上級カリキュラムに習熟して認定試験に合格する
以上が教育カウンセラーの資格の種類と特徴です。それぞれの資格取得には、年単位の実務経験が求められますので、まずは経験を積み重ねながら、試験の勉強を進めることが適切といえるでしょう。
また教育カウンセラーの資格は、すでに教育に携わっている人でスキルアップとして仕事にカウンセリングの知識を取り入れたいという方におすすめの資格です。
教育カウンセラーの年収は?キャリアパスも解説!
職業情報サイトのJOBOON(ジョブーン)の調査によると、教育カウンセラーの平均年収は、約300万円〜500万円程度といわれています。
平均年収 | 約300万~500万円程度 |
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初任給 | 約20万~30万円程度で、年収に換算すると約300万~500万円程度 |
経験による変動 | 20代は約300万~400万円程度 30代では約400万~500万円程度 40代では約500万~600万円程度 |
なお教育カウンセラーのキャリアパスは、資格の上級を目指すことで次のキャリアがみえてきます。前述した資格の等級を上げることで、次のステップにキャリアアップできるでしょう。
- 初級:教育現場でのカウンセラーになる
- 中級:カウンセリング・リーダーにキャリアアップ
- 上級:講師やスーパーバイザーにキャリアアップ
ただし、大学卒やスクールカウンセラー、臨床心理士の資格を求められる場合があります。
教育カウンセラーに求められる4つのスキルとは
教育カウンセラーに求められるスキルは次のとおりです。
- 共感力と傾聴力
- コミュニケーション能力
- 生徒の悩みに対して解決策を提案
- 組織を管理する能力
では、それぞれの項目についてみていきましょう。
共感力と傾聴力
教育カウンセラーには、共感力や傾聴力がとても大切です。なぜなら、生徒が安心して相談できる環境を提供するためには、対人関係のスキルが必要だからです。
生徒は、自分の気持ちに寄り添ってくれる人を求めており、悩みに「共感してくれる人」を求めています。
例えば、学業や進路について悩む生徒がいたとします。教育カウンセラーは、その生徒の話をじっくり聞きながら、勉強方法のアドバイスをしたり、将来の進路について一緒に考えたりします。
こうしたサポートを通じて、生徒は自分の目標に向かって前向きに進めるのです。だからこそ、教育カウンセラーには共感力や傾聴力が求められるのです。
コミュニケーション能力
傾聴力が重要視されるように思われがちですが、高いコミュニケーション能力も求められます。なぜなら、生徒の保護者や教職員としっかりと話し合い、信頼関係を築くことが大切だからです。相談だけではなく、関係者と協力して問題解決能力が必要なのです。
例えば不登校の生徒がいる場合、カウンセラーは教師や保護者と話しあいながら再登校の計画を立てます。その生徒を支援しつつ、少しずつ学校生活に戻れるようサポートします。
そのため教育カウンセラーには、共感力や傾聴力以外にも高いコミュニケーション能力が欠かせません。
生徒の悩みに対して解決策を提案
ヒアリング後に、生徒の悩みに対する解決策の提案能力が求められます。
カウンセリングによって問題の原因をみつけ出して、それにあった解決策の提案が大切です。マニュアルをこなすのではなく、生徒一人ひとりの悩みにあわせた対策が必要なのです。
例えば、家庭内でのトラブルや友人関係の悩みなど、感情が絡む問題が考えられます。教育カウンセラーは中立的な立場で話を聞いて、問題解決につながるアドバイスをします。これにより、生徒は前向きに学校生活が送れるのです。
したがって、教育カウンセラーには問題解決能力が欠かせません。生徒の悩みを具体化して、現実的に解決できる策を提案できるように努めましょう。
組織を管理する能力
教育機関や関連団体との連携を図る組織管理能力も求められます。その背景には、カウンセラーは一人で解決できない問題も多く、チームでの協力や調整が必要なケースが多いことがあります。
周囲と連携しながら、生徒を支える仕組み作りが重要になるでしょう。例えば、生徒を支援する場合においては、地域の支援団体と連携して計画を立てます。役割分担をしながら、生徒をサポートしていくのです。
だからこそ、教育カウンセラーには、組織をまとめる能力が求められます。特に中級以上の教育カウンセラーは、リーダーシップが必要になるでしょう。
教育カウンセラーを目指す人に向けたアドバイス
最後に、教育カウンセラーになるための成功ポイントをアドバイスしていきます。以下のポイントを意識できると、教育カウンセラーを目指す過程で挫折しにくくなるでしょう。
- 問題解決能力を高める
- コミュニケーション能力を高める
- 継続的に学習する
- 柔軟な対応力を身につける
問題解決能力を高める
生徒の悩みを深く理解して、適切な解決策を提案できる能力を磨いておきましょう。相談者がどうしたいのか、何を達成したいのかを明確にすることが重要です。
コミュニケーション能力を高める
コミュニケーション能力も欠かせません。教師や保護者とのやりとりにおいては、情報共有や調整をするためのコミュニケーション能力が求められるからです。
生徒に対しては、相手に耳を傾けることや、共感の表現にバリエーションを作るなどの共感の表現を意識することが重要です。
柔軟な対応力を身につける
生徒一人ひとりの状況に応じた、柔軟な対応力が求められます。その理由は、相談者のニーズや周囲の状況を考慮して、個別対応することが多いからです。
特に、不登校やいじめなど複雑な問題では、関係者と協力しながら解決策を模索する姿勢が重要です。そのため、柔軟な対応力が求められるでしょう。
継続的に学習する
心理学やカウンセリング理論の知識を継続的に学び、最新の理論や実践方法に触れることが大切です。
またカウンセリングできる現場にも、足を運んで知識と経験をバランスよく身につけておきましょう。
教育カウンセラーになる際に役立つ勉強方法
教育カウンセラーを目指す際には、下記の勉強方法から知識と実践経験を積み重ねましょう。
- 心理学やカウンセリング理論を勉強する
- 保育園や学童施設などで現場の経験を積む
- フリースクールなどの教育施設で働く
では、それぞれの項目について解説します。
心理学やカウンセリング理論を勉強する
心理学やカウンセリング理論などの知識を体系的に学ぶのが大切です。通信講座を利用すれば、自分のペースで勉強に取り組みやすいでしょう。
保育園や学童施設などで現場の経験を積む
保育園や学童クラブなどで実践経験を積むことで、実践的なスキルが身につきます。資格を求められないケースも多く、机上の勉強では得られない貴重な能力が身につきやすいでしょう。
フリースクールなどの教育施設で働く
フリースクールで実際に働いてみることも、貴重な学びになるでしょう。
フリースクールは、心の悩みや発達障害支援などの子どもの居場所として、ニーズが増えている施設です。この環境で生徒の話を聞いたり、アドバイスしたりといった実務経験が今後のカウンセリングに役立つことでしょう。
教育カウンセラーとして働くには、臨床心理士、スクールカウンセラー資格、キャリアカウンセラー資格などが求められる場合があります。そのため、紹介してきた勉強方法を実践しながら根気よく資格を取得できるように努めてください。
これらの勉強方法を実践することで、将来的に教育カウンセラーのお仕事に携われる機会が巡ってくるでしょう。