プラコーは、プラスチック加工機の専業メーカーとして国内トップレベルにありますが、乗っ取り騒動があったことでも知られます。
現状は、新しく古野孝志さんを社長にして、旧来のニッチ市場での利益確保という経営方針を課題として、今後は「売り上げ拡大、利益拡大」という成⻑戦略に舵を取っています。
具体的に目指す数字目標としては2025年に売上高100億円を掲げています。
本稿では、乗っ取り騒動から新たな成長を目指すプラコーについて、会社の概要や沿革、製品情報、評判・口コミなどを調査し、プラコーという会社がどのような会社なのか、そして今後はどのような発展を遂げるのかについて詳しく紹介していきます。
- 乗っ取り騒動があったプラコーの概要と沿革
- プラコーが作るプラスチック加工機械やリサイクル機器
- サポート・メンテナンスと予備品ECサイト
- プラコーの従業員からの会社の評判
- 2020年に就任した古野孝志社長
- プラコーの売上高・業績の推移
- 旧態依然から新体制での成長へ
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乗っ取りが噂されたプラコーとは?
乗っ取りが噂されたプラコーとは、埼玉県さいたま市にあるプラスチック成形機等の機械メーカーです。設立は1960年と古く、現在は約80名の従業員が働いています。
コア事業はプラスチック成形機事業で、インフレーションフィルム成形機とブロー成形機については高い技術力と実績で業界から高い評価を得ています。簡単に言うとプラスチックを加工して必要な形にできる、大型の機械を製造・提供している会社になります。また、時代に応じてプラスチックリサイクル事業も手掛け、関連事業には電気自動車・水素自動車・ロボット等もあります。
一時期、プラコーは乗っ取りが噂されたこともありましたが、2020年に新経営体制が発足し、代表取締役社長・古野孝志さんのもと100年に一度といわれる産業社会の変革期を乗り越えるべく奮闘しています。
沿革
創業は1960年8月17日で、当初はプラスチック工業株式会社という社名でした。
その後1970年には埼玉県岩槻市に浦和工場を開設し、1972年に商号を株式会社プラコーと改称し、1973年には日本証券業協会に店頭登録しています。
それから暫くの間は大きな動きがなかったのですが、1990年になると完全無人化フィルム成形機を上市、1995年にブロー成形機用トータル制御システム完成、1997年にリサイクル機器製造販売開始と立て続けに現在の礎となる技術を開発しています。
そしてまた10年ほどの時を経て2012年には燃料タンクブロー成形機をFTSと開発し、翌年の2013年には証券取引所再編によりジャスダック上場を果たします。
近年、大きく会社が動いたのは2020年の新経営体制発足で、現在の社長は古野孝志さんです。
プラコーの製品情報
プラコーの製品は一般に流通しているような分かりやすい商品ではありませんが、インフレーション成形機や電動ブロー成形機をはじめ、産業界の様々なシーンや生活に関わる製品に影響を与えるものばかりです。
各製品は、社会生活の合理化と利便化に役立ち、また、人と地球に優しい環境保全、改善というコンセプトのもと社会貢献を果たしています。
業界トップレベルのブロー成形機
ブロー成形機はプラコーの代名詞とも言える製品です。ブロー成形機とは樹脂を熱で溶かしてから型に移し、それから樹脂にガスを吹き込んで冷却し、内部が空洞の製品に加工する大型の機械です。
プラコーは、業界内ではそれまで不可能とされていたブロー成形技術を確立し、多層3次元ブロー成形機、二重壁深絞り成形機といった製品ラインナップになっています。また、近年では技術革新でハイブリッド、3Dパリコンシステムにも対応しています。
業界最高水準のインフレーションフィルム成形機
インフレーション成形機の仕組みは、溶融樹脂を薄いフィルム状に押し出してから冷たい空気を吹き込み、膨張させて袋状に成形します。
プラコーでは多層(最大10層)技術を持ち、要求される機能を必要なだけ付与する事でフィルムの高機能化が可能です。製品は高性能押出機や多層インフレーション成形機などがあり、規格袋、HDPEフィルム、貼合フィルム、多層フィルム、機能性フィルム、農業用フィルムなど、多種多様なフィルムのニーズに応えます。
プラスチック成形機メーカーが手掛けるリサイクル機器
プラスチックは化石燃料の石油から作られますが、リサイクルすることで再度プラスチック製品にしたり(マテリアルリサイクル)、原料にもどして再利用したり(ケミカルリサイクル)、ガスや油などの固形燃料にしたり(サーマルリサイクル)できます。
プラコーでは、そういった多様化するリサイクル用途に対応するため、一軸式破砕機や高速粉砕機、再生ペレット装置を提供しています。
万全のメンテナンス体制と予備品ECサイト
プラコーでは購入された機械について、導入後のサポート体制を構築しています。具体的には、機械が稼働している工場などに出向き、メンテナンスなどのサービスを行います。
また、自社製品の機械に取り付けるスクリューやシリンダー、減速機、モーターなどについては、予備品ECサイト「プラモール」で購入することもできます。そして「プラモール」では、提携先製品として、破砕機・粉砕機の中古販売も行っています。
プラコーの従業員の評判口コミ
プラコーで働いている従業員からの評判口コミを調べました。
振られた仕事に応えるとどんどん仕事を覚えられる
入社時は見たことのない機械ばっかりでしたが、修理やメンテナンスの仕事を振ってもらっているうちにこなせるようになりました。
社員の平均年齢は高いほうだと思います。だからこそ経験を積んだ先輩から色々と学び、仕事は自分で覚えられるという人には向いている職場環境だと思います。
職場では先輩社員が教えるという形になるので、仕事を覚える意欲のある人にとっては成長できる環境にあります。
残業代や諸手当もちゃんとでる
残業代や移動時の交通費、家族手当などがしっかりでる会社です。以前はサービス残業などもありましたが、制度面は改善されています。
ブラック企業では残業代なし、サービス残業当たり前という会社が多いですが、プラコーではそういった前時代的な体制を改め、制度面の改善が見られます。
機械好きにはやりがいある仕事
取り扱っている製品が大型機械なので、客先に設置しに行くことがあり、やり終えたあとには達成感があります。
大きな機械を取り扱うということは働きがい、やりがいにつながります。また、メンテナンスで取引先に伺うこともあり、感謝されることも満足感が得られます。
プラコーの従業員の評判口コミまとめ
働き方については、特有の現場で見て教えてもらって成長するというスタイルです。働いている方の平均年齢は高く、スキルを持った先輩方により後輩が技術を身に付けていくという現場ならではの教育システムが上手く機能している会社です。
また、残業代や諸手当についてもきちんと支給されているようです。
古野孝志社長とは?
2020年に社外から新しく代表取締役社長として就任したのが古野孝志社長です。
ここでは、古野孝志社長の略歴や社長挨拶から見る人物像について紹介します。
略歴
- 昭和55年4月 新日本製鉄株式会社 入社
- 昭和62年4月 日興証券株式会社 入社
- 平成13年7月 エブリデイ・ドット・コム株式会社(現阪急キッチンエール) 取締役
- 平成18年7月 株式会社 GCI キャピタル 執行役員
- 平成23年1月 スリープログループ株式会社(現ギグワークス株式会社) 取締役副社長
- 令和元年6月 東京日産コンピユーターシステム株式会社 取締役 (現任)
- 令和3年 株式会社プラコー代表取締役社長就任
社長挨拶から見る人物像
新しく社長になった古野孝志さんは、古い体質だったプラコーの変革を目指します。
業界は100年に一度の産業社会の変革期を迎えていて、その流れの中で会社が変わる必要があるとし、業界の流れを見極めて行動に移せる人物であることがわかります。また、時代の新たな要請に応えられる技術開発を行い産業社会に必要といわれる企業に成長させるとしていて、チャレンジ精神も旺盛な人です。
プラコーの売上高・業績
プラコーでは、自社の公式ホームページで2019年3月期からの売上高・受注高・受注残高・営業利益・経常利益・純利益・1株当たり当期純利益・総資産・純資産・自己資本比率のデータを公開しています。
ここでは、特に売上高と業績について紹介します。
V字回復が予想される売上高
売上高は2019年3月期から2022年3月期まででじりじりと減っている状態です。また、営業利益、経常利益、純利益は大きく減っています。
しかし、厳しい中でも2022年の受注高は前年比で倍近く伸びています。このことから、現在の業績はゆるやかなマイナス基調ですが、今後は受注が順調に増えれば売上高や利益も増加に転じると考えられます。
プラコーの特徴
プラスチック加工機械では業界内で確固たる地位を築いているのがプラコーです。プラスチック加工機械を専門としているため、長年培ったノウハウや図面がデータとして残り、今後の製品開発も期待できます。
また、特許は廃棄物を利用したボード成形機や樹脂成形品の製造方法など登録特許数9件、実用新案権は型締装置(タイバーロック機構)やパリソン肉厚調整装置(横パリコン装置)など実用新案登録数4件を数え、自社の高い技術をしっかり登録して法律で守っています。
現状の課題と今後の展開
プラコーはプラスチック加工機の専業メーカーとして、自社の置かれている状況を「100年に一度の産業社会の変革期」ととらえています。
世界では、環境保護のために二酸化炭素を削減する取り組みが行われ、技術革新で電気自動車や水素系自動車の開発と移行があり、事業形態ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が進行し、AI・IoT・RPAといったロボット化によるオートメーションの活用が行われています。また、海洋資源保護や資源循環推進のためのプラスチックリサイクル利用など、技術開発も求められています。
そのような目まぐるしく進化が求められる中で、プラコーは自社の課題と今後の展開をどのように捉えているのでしょうか。
課題と展開
これまではプラスチック加工機というニッチな市場でトップクラスにあり、利益を確保できれば良いという経営方針でした。しかし、今後は売上拡大や利益拡大という成長戦略という方針に転換することになります。
成長戦略の第一歩は強みであるインフレーションフィルム成形機とブロー成形機に関して従来以上に深耕強化しシェアを伸長することです。そうして基盤を強化した上で、リサイクル事業や関連事業を伸ばしていきます。
売上目標は100億円
具体的な数値目標として、2025年度の売上に関して、プラスチック成形機事業40億円、リサイクル事業30億円、関連事業30億円の合計100億円の売上を目指します。
そのための具体的な施策としては、コア事業に関しては情報発信・業務運営・新製品開発・特許戦略・社内テスト機・スクリュー貸出サービスの6つを掲げています。
また、リサイクル事業についてはリサイクル機器製造販売と廃プラスチック回収過酷再生剤の製造販売で売上を伸ばし、関連事業では電気自動車関連・水素自動車・燃料電池車やM&Aの活用で数字を出すとしています。
まとめ
以上が、乗っ取り騒動があったプラコーについての概要や製品情報、強み、評判口コミ、社長などについて調査した結果です。
現在は経営陣が刷新されていて、旧来の現状維持から成長戦略をとることを宣言し、新しい体制の会社へと変革している最中です。これまでのニッチ市場だけで営業活動することや業界が未曾有の変革期にあることなど、現状の課題はしっかりと把握し、確かな現状分析の上で今後は100億円の売上を目指すことになります。
乗っ取り騒動でプラコーがどのような会社か興味を持った方もいらっしゃるかも知れませんが、新体制での発展に期待できる会社なので、今後の展開にどうぞご注目ください。
会社概要
社名 | 株式会社プラコー |
本社 | 〒339-8558 埼玉県さいたま市岩槻区笹久保新田550番地 |
設立 | 1960年 |
代表取締役 | 古野孝志 |
資本金 | 7億 475万円(2021年5月末現在) |
前年度売上高 | 2,719百万円(2022年3月決算) |
本社・工場 | 敷地面積9,727㎡/建物面積3,950㎡ 【組立工場4棟】 引取装置TUM-1000型 1機 巻取機TWR-1500型 1機 巻取機TWR-850型 1機 押出機制御盤 2台 温調盤 2台 他テスト用設備 【加工工場1棟】 DMGMORI DMU-80P型(5軸マシニングセンタ) DMGMORI NLX6000/2000型(ターニングセンタ) DMGMORI NLX2500/1250型(ターニングセンタ) OKUMA MB66VB型(立形マシニングセンタ) 他加工機 【事務棟1棟】 |
事業内容 | プラスチック成形機・リサイクル装置製造販売 |
従業員数 | 80名 |
許可 | 機械器具設置工事業 国土交通大臣 許可(般-1)第27466号 古物商許可証 埼玉県公安委員会 第431250055548号 |