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弁護士とはどんな仕事?仕事内容/年収/資格取得までのロードマップ

最終更新日:2025-01-24
弁護士とはどんな仕事?仕事内容/年収/資格取得までのロードマップ

「弁護士とは、どんなお仕事で役割があるの?」
「弁護士の仕事内容について教えて!」
「弁護士になるには、どんな資格や経験が必要なの?」
「どんなキャリアパスがあるのか知りたい」

といったように、弁護士という職業が気になっているのではないでしょうか?
弁護士は、法に基づいて依頼者の紛争を解決したり、不正を防止したりと人々の人権を法で守る法律のスペシャリストです。

法廷での弁護や法律相談、離婚や相続の紛争の解決などの業務を担っています。

本記事でわかることは以下のとおりです。

  • 弁護士の仕事内容
  • 資格取得から弁護士になるまでの道のり
  • 弁護士の年収やキャリアパス
  • 弁護士の5つのつらいこと

この記事では、「弁護士の仕事内容や年収」や「資格取得から弁護士になるまでのロードマップ」について解説しています。これから弁護士になりたいあなたに必見の内容です。ぜひ最後までお読みください。

弁護士とはどんな職業なのか初心者にもわかりやすく解説

弁護士とはどんな仕事?仕事内容解説

弁護士は、法律の専門家でトラブルが発生した際に、法律を使って助けてくれる法律のスペシャリストです。法律事務全般を取り扱っており、裁判や法律相談、債務整理などの多様な業務を担います。

例えば、離婚や遺産相続の問題、仕事でのトラブルなどを解決してくれます。事件について法律相談を受けて、法律の観点から依頼者の人権や利益を守る職業です。

弁護士の役割

弁護士は依頼者の人権を守ったり、不正を防いだりすることで、安心して暮らせる社会作りを担う役割を持ちます。

その背景には、弁護士法第1条に「基本的人権を守り、正義を実現すること」が役割として定められています。 関わる事件への解決策を法律に基づいて決めます。その際に、弁護士は法廷で被告人の意見を代弁して、人権を主張します。
また、事件の当事者の相談にのって、問題解決のアドバイスをすることも重要な役割です。

このように、弁護士は法律を通じて人々の権利を守り、公平な社会を作ることが主な役割なのです。

弁護士の主な仕事内容

弁護士の主な仕事内容

弁護士の仕事内容についてみていきましょう。主な弁護士の業務内容は、以下のとおりです。

  • 刑事事件の法廷での弁護
  • 紛争の予防と解決
  • 民事訴訟の代理人
  • 法律相談や書類作成

それぞれの項目をみていきましょう。

刑事事件の法廷での弁護

弁護士は、刑事事件での被疑者や被告人を守るための弁護を担当します。刑事事件を担当する場合、まず被疑者や被告人と面会します。そして事件の詳細を聞いて、どう弁護するのか方針を決めるのです。

例えば、裁判では被疑者に有利になる証拠を集めます。また、検察官や被害者とも交渉し、少しでも依頼者が不利にならないよう努力します。そして、公判の前に集めた情報から被疑者の弁護をしていくのです。

離婚や相続などの紛争の解決

刑事事件とは異なり、民事事件においては被害者と加害者のどちらかを弁護します。この民事事件では、以下のような訴訟内容が挙げられます。

  • 多重債務
  • 自己破産
  • 遺産の相続問題
  • 離婚や不倫問題
  • 労働環境での不正

このような事件に対して、法廷における弁論を行います。裁判以外での業務としては、被害者のサポートや加害者との代理交渉などの役割を果たします。

例えば、離婚の場合は、浮気の証拠集めや慰謝料請求の交渉をサポートしてくれます。一方で加害者側でしたら、不倫ではないことを立証していくことになるでしょう。

このような人間関係における紛争の解決も、弁護士の仕事のひとつです。

民事訴訟の代理人

弁護士の仕事には、民事訴訟の代理人を務めることも含まれます。その理由は、弁護士が過払い金の請求や損害賠償などに関する民事訴訟を代行し、裁判所に書類を提出する役割を担っているからです。

裁判当日は通常30分程度しか時間がないとされています。しかし、弁護士はその短い時間で依頼者の主張を的確に伝えるため、事前に正確な書面を作成する必要があります。

したがって、裁判への出廷が難しい依頼者の代わりに訴訟を進めることも、弁護士の重要な仕事内容のひとつなのです。

法律相談や書類作成

書類作成は、弁護士にとって欠かせない仕事のひとつです。法に関わる文書を正しく発行する能力が求められます。

なぜなら、法的な書類は依頼者の主張や権利を守る重要な情報だからです。不明瞭な内容でしたら、裁判や交渉で不利になってしまうでしょう。

例えば、申立書や訴状、内容証明郵便などは弁護士が作成します。つまり弁護士の書類作成は、法的に依頼者を守るための大切な仕事です。

弁護士の仕事の一日を詳しく紹介|弁護士の具体的な仕事内容

弁護士の仕事の一日を詳しく紹介

弁護士の一日がどのようなスケジュールになるのか、その一例を紹介します。業務の流れのイメージとして、今後の参考にしてください。

出発午前午後夕方以降帰宅
1日目9時00分に出発遺産相談、国選弁護イベントの電話対応損害賠償訴訟請求、法律相談センターでの相談担当警察署で国選弁護事件の被疑者と接見19時30分に帰宅
2日目8時00分に出発顧問会社との電話対応、敷金返還請求一括の書面作成人権庁で国選弁護事件の会談、裁判で証人尋問裁判後の依頼者と打ち合わせ、その後の食事21時00分に帰宅
3日目9時00分に出発敷金返還請求に関する書面作成、顧問会社の契約書のチェック医療事故被害者との面談、地元商店会で夜間法律相談夜間法律相談終了後、商店会主催者と会食20時30分に帰宅

引用元:日本弁護士連合会

資格取得から弁護士になるまでのロードマップ

資格取得から弁護士になるまでのロードマップ

弁護士になる道筋は、司法試験の受験資格を得ることからはじまります。まず受験資格の取得には、法科大学の卒業か予備試験の合格が必要です。

司法試験に合格したとしても、司法修習で1年間勉強する期間や2度試験があるなど険しい道のりです。
ここからは、弁護士になるまでの道のりについて解説します。

国家試験を突破するのが前提条件

弁護士になるには、国家資格である「司法試験」に合格する必要があります。司法試験とは、弁護士や裁判官、検察官と呼ばれる法律家を目指す方が受ける国家試験です。

試験の目的は、法律家としての学識や応用能力の判定です。年に1回、毎年5月中旬頃に4日間にわたり実施されます。

ただし、司法試験の受講には、受験資格を得る必要があります。具体的な受験資格を得る方法は、下記の2択から選べるため、ご自身に適したルートをみつけましょう。

STEP1:司法試験を受講するために受験資格を得る

受験資格を得るには、以下の2択から資格を得る必要があります。

  • 法科大学を卒業する
  • 予備試験に合格する

ただ2つとも容易なことではなく、法科大学院は最低2年の学習期間、かつ予備試験の合格率4%と困難を極めます。

選択1:法科大学を卒業する

法科大学院に進学して、修了後に受験資格を取得してから司法試験を受験するルートです。

ただ4年制大学の卒業が前提条件のため、法科大学への進学は容易ではありません。それに各大学では、以下のような入試が行われます。

  • 適正検査
  • 自己評価表の提出
  • 面接

そのため法科大学への進学は、狭き門といえるでしょう。また入学後は、2年から3年間の就学期間を経て、司法試験の受験資格が得られます。

4年制大学を卒業かつ、2〜3年間の就学期間があると考えると7年以上も掛かるため非常に険しい道のりです。

選択2:予備試験に合格する

法科大学への進学条件を満たせない方は、予備試験の合格を目指しましょう。

予備試験は、誰でも法科大学院に行かずに受験資格を得られる試験です。特に時間的・経済的な理由で、法科大学への進学を断念している方にとっては、ありがたい制度です。

それに予備試験合格者というだけでも、就職活動において有利に働くといわれています。したがって、就活や弁護士キャリアの観点からも予備試験は人気を集めています。

ただし予備試験の合格率は、4%以下と非常に高難易度な試験です。1万3,000人以上のライバルから選別されると考えると、まさに屈指の最難関国家試験といえるでしょう。

試験年度受験者数合格者合格率
令和5年13,372人479人3.5%
令和4年13,004人472人3.6%

出典:法務省 司法試験の結果について

以上が司法試験の受験資格を得られる2択です。いずれかのルートから受験資格を得ることで次のステップに進めます。

STEP2:司法試験に合格する

受験資格を取得後、いよいよ司法試験が受けられます。

司法試験の合格率は、毎年40%前後と予備試験よりも高確率となっています。令和5年は、受験者数が約3,900人なのに対して45.3%と高い合格率です。(出典:法務省 司法試験の結果について

STEP3:司法修習で1年間勉強する

司法試験に合格できたからといって、すぐに弁護士になれるわけではありません。司法修習生として1年の実務修習を受ける必要があります。

司法修習は、法律家としての知識を深める期間であり、必要なプログラムを学んでいきます。1年間と拘束期間が長いのですが、準公務員の扱いで給与も支給されるので安心してください。
この司法修習の完了後、ようやく弁護士としてデビューできるのです。

司法修習では、次のような分野別の実務復習が大半を占めています。

  • 民事裁判
  • 刑事裁判
  • 検察収集
  • 弁護復習

以上の4科目を2ヶ月間の期間で実施します。また目指す法曹や働き方によって、多彩な実務経験を積めるでしょう。

STEP4:司法修習生考試(二回試験)に合格する

すべての司法修習を終了したあとは「二回試験」を受講します。二回試験ではこれまでに培ってきた、実務能力と法の知識が問われます。

これは、学校でいう卒業試験のようなものです。

  • 民事裁判
  • 刑事裁判
  • 民事弁護
  • 検察
  • 刑事弁護

上記5科目から構成されており、高難易度な最終試験になっています。この二回試験への合格が、弁護士へのパスポートを手に入れるということになるのです。

このように弁護士への道のりは、さまざまな試練を乗り越える必要があるためハードな道のりです。

STEP6:弁護士会に登録する

日本弁護士連合会や、入会する地域弁護会に登録すれば、晴れて弁護士を名乗ることができます。司法修習で得た知識や経験を活かして、弁護士としての活動をはじめましょう。

以上が、弁護士として働くためのロードマップです。
試験の合格率の低さや司法修習の流れをみると険しい道のりですが、乗り越えられた方は、この経験が大きな自信につながるでしょう。

弁護士の平均年収と給料の実態|収入に関する詳細情報

弁護士の平均年収と給料の実態

弁護士の平均年収は、さまざまな調査結果によって異なりますが一般的には高水準といえます。

日本組織内弁護士協会の調査によると、2022年以降の年収は「1,000万円〜1,500万円未満」の割合が33%を超えています。

また、250万円〜500万円未満の方は、約2%未満でした。このように、年収1,000万円を超える方が多いのが現状です。

参考元:日本組織内弁護士協会 (10P)
https://jila.jp/wp/wp-content/themes/jila/pdf/questionnaire202303_2.pdf

弁護士の求人状況とキャリアパス|将来の展望とキャリアアップの可能性

弁護士の求人状況とキャリアパス

ここまでで弁護士の平均年収や資格取得について紹介してきました。では、次に弁護士登録後の5つのキャリアパスについて紹介します。

法律事務所

実務経験が浅い弁護士は、まず法律事務所での勤務からキャリアをスタートするケースが少なくありません。

法律の知識があっても、一般民事やほかの業務経験がないため法律事務所で先輩弁護士から指導を受けながら、案件をこなしてスキルを磨きます。個人経営の事務所では幅広い業務を経験でき、大手事務所では専門分野に特化した仕事の経験を積めます。

法律事務所で働くことは、弁護士の実務経験を磨いて、幅広い経験や専門性を身につける第一歩になるでしょう。

自治体内弁護士

弁護士は、自治体の法務部や労働委員会としての働き方も考えられます。自治体内弁護士の業務は、一般的な弁護士と異なり以下の地域密着型の仕事が少なくありません。

  • 自治体の規則の確認
  • 職員からの法律相談
  • 条例の策定
  • 住民対応

自治体内弁護士は、公務員として法律業務を専門に行い、地域に貢献する役割を担っています。

企業内弁護士

弁護士は、会社の法務部や総務部の社員として働くこともできます。企業内弁護士の主な仕事は契約書の作成や紛争予防、不祥事対応などが挙げられます。

法務の見直しから法的リスクを減らす、重要なお仕事です。法律事務所と異なる点は、企業内弁護士は企業に所属して、雇用契約が結ばれていることです。つまり、法律事務所のような業務委託ではなく、会社員のように福利厚生が受けられることが魅力です。

このように企業内弁護士は、会社員の待遇で安定したキャリアを築けます。

公設事務所弁護士

公設事務所とは、過疎化が進む地域における法的支援のために、日本弁護士連合会の支援を受けて設立された法律事務所です。

公設事務所では、特定の地域で法律相談による地域住民の生活を支えます。また、都市郡とは異なる特殊な事件に関わるため、新しい経験を積める可能性があります。

いわば法律相談事務所の出張所のような場所であり、法的サポートを届ける役割を担っているのが特徴です。

独立開業

弁護士は、法律事務所で経験を積んでからの独立が一般的ですが、すぐに独立する「即独」も可能です。

独立開業のメリットは、自分のペースで事務所を運営できる自由さです。法律事務所を未開業の状況からでも、弁護士会のサポートを受けながらスタートできます。

ただし、先輩弁護士からの指導を受ける機会が少ないため、主体性が求められます。また新規顧客の開拓は、あなたの営業力次第ですので人脈が広い方は、即独がうまくいきやすいでしょう。

弁護士が抱える5つの仕事のつらさ

弁護士が抱える5つの仕事のつらさ

高い収入や、仕事のやりがいを感じることができる弁護士ですが、その反面つらいと感じる部分もあります。最後に、どのような困難が伴うのかをまとめました。

プライベートが確保できない

弁護士の仕事がつらい理由のひとつは、プライベートを確保しにくいことです。同時に案件を進める必要があり、それぞれの事件の重さによってタスクが増えるため多忙な毎日になりがちです。

例えば、一人で案件を受けていると、その分労働時間も増えます。 依頼者の抱えている問題が大きいと、裁判が長期化することもあるでしょう。

企業の訴訟や離婚問題など責任が重いため、休みたくても依頼人を優先することが多くなりがちです。したがって受ける案件数が多いと、深夜残業や休日出勤を余儀なくされます。

仕事のプレッシャーが強い

仕事のプレッシャーから、「つらい」と感じる人も少なくありません。なぜなら、依頼人の人生を左右する場面も多く、案件ごとに深刻な問題にあわせた丁寧な対応が求められるからです。

例えば、事件の証言や物的な証拠を見逃すと、反論のチャンスを失い、依頼人に不利な結果を招く可能性があります。投資詐欺の被害者が証拠不足で、全額返金に至らずに不幸になることもあるでしょう。

つまり弁護士は、依頼人の人生を左右する大きなプレッシャーと向きあう必要があり「つらい」と感じるのです。

悪評高い人物を弁護する場合は批判が多い

刑事事件の弁護では、社会からの批判を受けることがあります。その背景には、世間から「犯罪者を擁護している」と批判されたとしても、弁護士は依頼者の権利を守るために裁判に臨む責任があります。

例えば、悪名高い起業家の弁護を依頼された場合でも、事実無根であるという証拠を探して正当性を主張する必要があります。

その結果、世間からは「悪者の擁護」と認識されてしまい弁護士が批判の的にされることがあるのです。

つまり弁護士は、社会的な批判に耐えながら弁護を担当するケースがあるため「つらい」と感じるのです。

担当した被告が更生しない場合がある

自分の言葉が被告に届かずに、再犯が起こったときに深い後悔と責任感を抱えることがあります。弁護士は被告の更生を支援しますが、依頼者自身の意思や人格も関わるため完全に再犯を防げるとはいえません。

したがって、更生に失敗した際に責任や罪悪感を感じることがあり、精神的に追い詰められるのです。

独立しても仕事が獲れない

難解な国家資格を取得したとしても、独立して成功できるとは限りません。なぜなら弁護士には、専門スキルだけでなく、営業力や柔軟な判断力などの能力が求められるからです。

弁護士の肩書きがあっても、経営者としての知見が不足していると独立後に苦しみます。

例えば実力不足で顧客を確保できずに、収入が不安定になることがあるでしょう。法律事務所の維持費がかかるため、案件が少ないと経営が破綻します。

そのため、経営不振に陥り「つらい」と感じる状況になることがあります。

以上が弁護士の仕事が「つらい」と感じるポイントです。高収入かつ上級職なイメージが強い弁護士ですが、多忙さや仕事の責任の重さが伺えます。

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