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建築設計士とは?建築士との違いや仕事内容/年収/必要な資格/大学情報を解説!

最終更新日:2025-02-21
建築設計士とは?建築士との違いや仕事内容/年収/必要な資格/大学情報を解説!

建築設計士について、名前は知っていても業務内容など詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

建築士といった仕事もありますが、建築設計士とは違い国家資格を持つ職業です。

この記事では、建築設計士と呼ばれる職業について、建築士との違いや仕事内容、年収に資格、大学の選び方まで徹底的に解説します。

建築設計士とは?職業について初心者向けに詳細解説

建築設計士とは?職業について初心者向けに詳細解説

建築設計士とは、建物に関わる職業であるのは名前から察していただけるでしょう。
しかし建築設計士の基本的な役割とその職業の特徴を考えると、すぐに思い浮かばないのではないでしょうか。建築設計士の仕事に興味がある人にとって、初めて知るべき情報をわかりやすく説明します。

建築設計士とは主に建物の設計に関わる職業です。

「建築設計士」よりも「設計士」と呼ばれることが多いかもしれません。

特定の資格を必要としないため、国家資格が必要な建築士と違い誰でも名乗れる職業です。ただし設計はできても制限があるため、設計の一部担当や建築士の業務サポートに回ります。それでも施主との打ち合わせなどもするため、専門的知識が求められる職業でもあります。

建築設計士の仕事内容を日常業務の流れから具体的な作業内容まで

建築設計士の仕事内容

建築設計士の仕事内容は主に3つあり、プロジェクト内では幅広く対応しているため補助の要素が多くあります。

日々の業務の流れから具体的な作業内容を紹介しますので、どのようなプロジェクトに関わり、どのような役割を果たすのかがイメージできるでしょう。建築に関する専門知識を持ちながら、対応できる限りを尽くして業務に取り組むのが建築設計士であるのがわかります。

建築設計士の仕事内容3つ

建築設計士の仕事内容は次の3つを主に担当します。

建築設計士の仕事内容
・小規模な木造建築物の設計業務(100平方メートル以下)
・建築士の補助業務
・施主との打ち合わせに同席、書類作成

建築士法により、設計業務については建築士でなければできないことが多くありますが、延べ床面積が100平方メートル未満の木造住宅のような小規模の建築物の場合、特定の条件を満たせば無資格でも設計可能です。

上記の理由より、無資格の建築設計士ができる設計業務に制限がついているため、建築士の補助も仕事の1つになっています。

施主との打ち合わせに同席し、話した内容を設計に反映させたり書類作成をしたりするため、専門的な業務は建築士の仕事になります。

そして建築設計士は、建築に関する専門知識を有した上での幅広い対応が求められます。

建築設計士の日常業務と役割

そのため日常業務はプロジェクトの進行状況や業務によって変化はありますが、依頼者や業者の連絡の対応、打ち合わせの準備といった準備から始まります。

実際に依頼主や業者との打ち合わせをしたり、設計作業に入ったり、これらを建築士が中心となって進めていればサポートに回ります。

建築士のような専門的な業務に携わるのが難しい立場ですが、事務作業から補助など広く対応するため、設計する力とコミュニケーションが建築設計士に求められる役割といえるでしょう。

建築設計士と建築士の違い3つを徹底解説

建築設計士と建築士の違い

建築設計士建築士の違いには、資格、仕事内容、業務範囲の3つがあります。

どちらも建築に関わる仕事ですが、何が違うのかまでは多くの人が疑問に感じているでしょう。
建築設計士と建築士の違いについて詳しく比較しながら、内容を掘り下げて解説します。

建築設計士と建築士の違い①資格

建築設計士は資格を必要とせず、建築士は国家資格を持つ専門家となるため、資格の有無が違いになります。

建築設計士資格を必要としない
建築士国家資格が必要
(一級建築士、二級建築士、木造建築士)

建築士の資格は一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類あり、対応できる業務範囲が異なります。

建築設計士と建築士の違い②仕事内容

建築設計士と建築士の仕事内容を比較すると次のようになります。

建築設計士の仕事内容・小規模な木造建築物の設計業務(100平方メートル以下)
・建築士の補助業務
・施主との打ち合わせに同席、書類作成
建築士の仕事内容・設計図の作成
・工事監理(現場管理、指示、監督)
・行政手続き

工事監理とは、設計書や仕様書の通りに施工が進んでいるかを確認することです。

建築設計士は仕事を開始するとき、建築士は仕事の中心部分を担い、最後まで管理しているのがわかります。
建築士の場合、設計や工事監理以外にも、建設許可や道路使用許可申請といった行政手続きなどの事務作業まで仕事内容に含まれています。

建築設計士の場合、資格を持っていないため可能な仕事が限られます。

建築設計士と建築士の違い③業務範囲

建築設計士と建築士の業務範囲は異なりますが、建築士の場合は3種類の資格に分かれて業務も分かれます。

建築士の業務範囲
・一級建築士:あらゆる規模の建築
・二級建築士:中小規模の住宅限定
・木造建築士:木造住宅

上記のように、保有している資格によってできる業務が違います。

建築設計士には資格がないため設計できる範囲が狭くなりますが、国家資格を持つ建築士であれば広範囲で設計に携われます。

建築設計士になるために必要な資格や大学についてのガイド

建築設計士になるために必要な資格や大学についてのガイド

建築設計士になるには資格は必要ありませんが、学ぶべきことはとても多くあります。建築士を目指すために建築設計士になる人が多く、目指すのは建築士になるための知識やスキルが必要になります。

建築士の資格も3種類あり、進む大学を始め教育機関で実務経験や勉強内容などに変化があるため、どのような資格が必要か、またどのような大学で学ぶべきかを紹介します。

必要な知識やスキルを習得するための教育機関について詳しく説明します。

建築設計士になるには建築の専門知識から

建築設計士になるには、資格は必要ありませんが、建築に関する幅広い知識を持っていなければなりません。

建築士の補助も仕事の1つ、つまり建築士になるために必要な知識を持っている方が円滑に業務を進められるでしょう。正確性や空間把握能力、設計図面作成に使用されるCADを使えるスキルも必要になります。

将来、建築士を目指す人が多いため、建築士になるための知識やスキルを得るのが重要です。

一級建築士、二級建築士、木造建築士、一度に3つは難しいですが、これらの資格取得を目指すといいでしょう。

建築設計士になるには指定科目を履修

建築設計士になるには、指定科目を履修した大学、または専門大学などを卒業することが求められます。

指定科目については次の4つです。

  • 建築計画
  • 構造力学
  • 建築法規
  • 環境工学

受験資格としても必要な指定科目を学べるのは次の学部です。

受験資格に必要な指定科目が履修できる学部
・大学:建築学部、理工学部建築学科
・美術大学:建築学科、芸術学部のデザイン学科、インテリア学科

大学については、4年生大学だけでなく短大も含みます。これらを履修し卒業すれば、実務経験がなくても二級建築士、木造建築士の受験資格を得られます。

土木学科という空港やダムなどの構造物の設計と管理が学べる学科もありますが、こちらを履修し卒業した場合は、1年以上の実務経験を積んでから二級建築士、木造建築士の受験資格を得られます。

また、専門学校でも学べますが、大学に比べると専門分野に特化したカリキュラムが多いのが特徴です。建築といっても分野はさまざま、進みたい分野が決まっている場合は、専門学校にいくのがいいでしょう。

大学や専門学校だけでなく、高校や職業訓練校で学び、2年の実務経験を積めば受験資格を得られます。ただし一級建築士の受験資格は得られません。

一級建築士を目指す場合、二級建築士として4年間の実務経験を積んでからになります。

建築設計士の試験の概要と合格するためのポイント

建築設計士の試験の概要と合格するためのポイント

建築設計士になるには必ず必要な資格はないため、建築設計士の試験というものはありません。設計士として就職すれば設計士を名乗れるようになります。しかし、先ほど解説した通り業務範囲が限られているため、建築設計士を経て建築士の資格を取得する人が多いです。

そこで、建築士の資格試験の内容や難易度が気になるかと思います。勉強時間も試験時間も長く、しかも難易度が高い試験のため、合格するための効果的な勉強法を紹介します。

建築士の資格試験について

建築士の国家資格を取得するための試験は、主に一級建築士と二級建築士の2つのレベルがあります。

「学科試験」と「設計製図試験」の2部で構成されており、学科試験はどちらも6時間はかかるほど長く設定されています。

違いは試験内容で、二級建築士の学科試験では次の科目が出題されます。

二級建築士 学科試験出題科目
・建築計画
・建築法規
・建築構造
・建築施工

設計製図試験では、課題名や要求図書が事前に発表され、その内容に基づいて設計図書を作成します。

一級建築士試験の学科試験は5科目あり、次の内容が出題されます。

一級建築士 学科試験出題科目
・計画
・環境、設備
・法規
・構造
・施工

設計製図試験は一級建築士の場合、受験できるのは学科試験合格者だけです。

与えられた課題に基づき設計図書を作成しますが、試験時間は6時間30分で設定されています。

また、どちらの試験にも免除制度が設けられており、学科試験に合格すれば、次回以降の設計製図試験で学科試験が免除されることがあります。

一級建築士と二級建築士では、出題内容や形式が異なるため、受験レベルに応じた準備をしましょう。

受験資格や実務経験についても変更が行われているため、最新情報の確認が必要です。

建築士の試験難易度は高く合格率は低い

一級建築士と二級建築士、どちらも難易度が高く、合格率が低いのが特徴的な資格試験です。一級建築士の合格率は、近年では約10%前後で推移しています。難易度の高さは学科試験の合格基準点も影響しており、5科目それぞれに合格基準が設定されている上に過半数の得点をとる必要があり、全体で90点以上を獲得する必要があります。

二級建築士も合格率が20%台と決して高くありません。一級建築士の試験より範囲は狭いとはいえ、学科試験と設計製図試験があるため、合格に向けて備えなければ合格が難しい資格試験といえます。

建築士に合格するためには計画的に勉強

初学者の場合、一級建築士は約2,000時間以上、二級建築士は約1,000時間の勉強時間が必要となります。

必要な勉強時間が長いからこそ、試験日から逆算してスケジュールを立ててから勉強を始めましょう。例えば最初の数ヶ月は参考書を使って一通り学び、復習を繰り返す、のように、計画的に進めることで各科目を網羅できます。

学科試験では過去問を活用し、出題傾向の把握をしながら、自分の理解度を確認して知識を定着させましょう。製図試験では、模範解答を参考にしながら図面を書く練習が必要です。課題内容を理解し、それに基づいて図面作成できる力が求められるため、試験までに何度も書いて慣れるのが大切です。実務でも製図は書くため、将来をイメージすると取り組みやすいかもしれません。

建築設計士の年収と給料の実態/平均年収やキャリア別の収入について解説

建築設計士の年収と給料の実態/平均年収について

建築設計士の年収や給料については、条件によって変動があります。
平均的な水準やキャリアによる差、資格も条件に当てはまります。
年収や給料の上げ方、収入を向上させるためのポイントについて紹介します。

建築設計士の年収や給料は条件で変わる

建築設計士よりも国家資格を持つ建築士の方が、年収が高くなる傾向があります。

一級建築士の場合、年収は800万円以上になることもありますが、建築設計士は350万円から500万円程度とされています。年収に幅があるのは、企業規模や性別、年齢や経験年数によって異なるからです。

建築設計士の場合、規模の大きい企業の場合は400万円から500万円程度が見込まれていますが、資格や条件によって年収に差が大きく出るのが一級建築士です。

一級建築士の場合、企業規模によって年収が次のように変化しています。

一級建築士の場合
・企業規模1000人以上: 年収約800万円(月収51万円 + 賞与228万円)
・企業規模100人~999人: 年収約617万円(月収38.9万円 + 賞与151万円)
・企業規模10人~99人: 年収約568万円(月収38.8万円 + 賞与103万円)

男女別に見ても、男性の平均年収は約653.5万円(月収43.2万円)、女性は約560.9万円(月収36.3万円)と差があります。性別で差がでているのは、女性一級建築士の割合が全体の約13%のみと少ないのが原因です。

そして年齢や経験によっても年収は変動します。例えば、20代前半では391.7万円から始まり、40代後半で807.4万円に達する傾向があり、経験年数が増えるごとに月収も上がり、10年以上の経験を持つ場合は41.4万円程度になります。

年齢が上がれば年収が上がるというよりも、経験年数が上がるから給料が上がり、総じて年収が上がる傾向にあると判断するのがいいでしょう。

以上のことから、より高収入を求めるなら建築士の資格を取得する方が良いでしょう。

建築設計士の年収を上げるには環境と経験を積む

建築設計士の給料は、資格や経験、勤務先の企業規模によって大きく異なるのを考えると、働く環境や経験を積んでスキルアップすることが、給料を上げる方法になります。

高収入を狙う場合、一級建築士や二級建築士などの資格を取得し、専門性を高めて業務の幅を広げることです。特に一級建築士は、すべての建物を設計できるため、高い評価を受けやすい国家資格だからこそ給料が上がりやすくなります。しかし難易度の高さより、すぐに資格をとるのは難しいかもしれません。

建築設計士としてさまざま現場を通じて経験を積み、スキルを向上も年収アップにつながります。また、勤務する企業の規模が大きくなればなるほど給料が高い傾向にあるため、大手企業や事務所への転職も給料だけでなく待遇面が期待できます。

働く先は企業だけでなく、独立開業して自分の設計事務所を開業して収入を上げる方法もあります。リスクも伴うため十分な準備が必要となるものの、自分で受ける仕事や報酬を決められるところが、企業勤務と違う点です。

最新技術など知識のアップデートを欠かさず、ここまで解説しました年収を上げる方法を組み合わせ実行すれば、より高い給料を得られるチャンスが増えます。

建築設計士に求められる英語力とは海外プロジェクトやキャリアアップの観点から解説

建築設計士に求められる英語力

建築設計士にも英語力が求められています。

グローバル化によって考えられる海外のプロジェクトに関わる可能性や、キャリアアップに必要なスキルについて詳しく解説します。
建築設計士の英語力はどれぐらいのレベルで必要かを明らかにします。

建築設計士にとって英語力は重要スキル

建築設計士における英語力の重要性が、近年高まりを見せています。国際的なプロジェクトや外国人顧客とのコミュニケーションの増加が背景にあり、英語力を持つ建築設計士が求められています。また、建築業界のグローバル化が進んでいることもあり、海外の最新技術や情報を得るためにも、英語の必要性が高まっています。

求人市場においても、英語力を持つ建築設計士は国内外の企業から高く評価される傾向があり、外資系企業や国際的なプロジェクトに関わる場合、英語力が必須になるのが多くあります。

海外で建築設計士として働くキャリアの選択もできるため、自分で働き方を広げられます。

近年のニーズと建築設計士としての成功のためにも、英語力は重要です。

建築設計士も英語力でキャリアアップ

建築設計士に英語力があれば、外国人顧客とのコミュニケーションや海外プロジェクトに携われるだけでなく、最新の情報を直接受けとるチャンスも増えてキャリアの幅を広げられます。

専門的な情報や文献の多くは英語で提供されているものが多く、英語力があれば最新の建築技術やトレンドを直接理解できるため、自分の設計やプロジェクトに活かせます。

海外プロジェクトに関わる場合、建築に関わる知識や経験だけでなく、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなども求められるため、高い英語力を持って専門用語や契約内容を理解し、適切に伝える力が必要です。

海外で勤務することで多様な文化や技術に触れる機会が増えるため、専門性を高められ、海外プロジェクトに関わる建築設計士は年収が500万円から1,000万円以上になることもあり、年収アップにも繋げるチャンスがあります。

建築設計士の英語力はTOEICスコアで評価

建築設計士に必要な英語力は主にTOEICスコアで評価されることが多く、600点程度が目安とされています。

TOEIC600点は英検2級より少し上のレベルとされており、簡単な日常会話を話せるくらいと考えていいでしょう。専門用語を英語で読む力はあとで鍛えられても、外国人顧客や労働者とのコミュニケーションを円滑にするためには最低限必要な英語力です。そのため、日常会話ができるレベルの英語力を持ち、コミュニケーションをとりながら専門的な技術や情報を得るようにすれば、キャリアアップにつながります。

日本国内でも外国人顧客との取引が増えている現状からも、英語でコミュニケーションできる建築設計士は歓迎される傾向にあります。自動翻訳ツールも登場していますが、やはり直接やりとりできる建築設計士の方が信頼を得やすく、情報を取りにいくのも早くなります。

TOEIC600点を取得するには約300〜400時間の勉強が必要とされ、毎日1時間勉強すれば約1年で達成可能と考えると、少しずつ進めれば仕事や勉強の負担にはなりにくいでしょう。

建築設計士についてのまとめ

建築設計士には資格が必要ありませんが、将来 的に建築士を目指す資格として、一級建築士、二級建築士、木造建築士があることを紹介しました。

建築設計士だと建築士の補助といった立場になりますが、一級建築士になれば業務の幅を広げて年収アップやキャリアアップが見込めます。資格の勉強している間、建築設計士としての実務経験を積んで現場を知るのもいいでしょう。

建築に関わる専門知識を大学や専門学校で学ぶことが多いと考えていますが、今は英語も必要とされています。

ぜひこの記事を参考にして必要な情報を得て、活躍する建築設計士を目指してください。

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